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浜湯山辣韮ドリーム(3)

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ラッキョウ花、乱れて、六分咲き

 11月8日(火)午後、晴れ。研究室メンバー3名で開花した福部町湯山砂丘らっきょう畑の撮影に出かけました。すでに11月3~4日の開花状況を教授が撮影されていますが、そのときは3分咲き程度、このたびは6分咲きというところでしょうか。
 畑に着いてできる限りひろい範囲に目をやりました。いずれの畑地もまだ満開の花とはいかず、咲き始めから蕾をつけていない畑もありました。事前に農家さんから聞いた話では、「普段より開花が遅い」そうです。毎年10月末に咲き始めていたことを考えると、今年は1週間程度遅れています。また、植え付けの時期は、らっきょう畑の所有者によって微妙にずれているので、開花状況の違う農地がパッチワークのように織りなされています。いざ写真を撮ろうと、カメラを持ってみたのですが、迫力ある景観をうまく伝えられるよう撮影するのは難しく、枚数ばかりが増えていきました。しかしながら、そうした活動の中で、らっきょう畑が見せる景観の多様さに気づきました。らっきょう畑の背景には、日本海の海岸線や鯨島、葉落葉した木々、摩尼山などがあり、アングルや視点を変えるごとに印象も遷ろいます。


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 空撮では、地上から絶対に捉えることのできない視点からの写真を撮影できました。俯瞰してみるらっきょう畑は、巨大な絨毯が敷いてあるかの如く、規則的な縦縞の畦の連続を確認できました。ただし、空撮では花のアピール力は弱くなるようです。畑のなかには青いネットに囲われた部分があり、付近の農家さんに訊ねると、今年から青ネット内で無農薬農法に挑戦しており、経過を見ているとのことでした。ボランティアしていた8月までには知らなかった情報でして、卒業研究に役立つと思います。なお、いま農家の方々が取り組んでいるのは主に雑草抜きのようです。
 今回の撮影でも、未だ満開の畑地がない状況でした。教授は以前、もっと発色が良かったと言われていましたので、少し日を置いて、来週あたりもういちど撮影しに来ようと思います。(コバコー)


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↑空撮2枚 ↓(左2枚)撮影風景 (右1枚)無農薬栽培区画
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浜湯山辣韮ドリーム(1)

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春爛漫-摩尼山・砂丘・ラッキョウ畑

 4月27日の夕刻近く、浜湯山のラッキョウ(辣韮)畑を突撃訪問した。ラッキョウの収穫・出荷は梅とほぼ同時期なので、たぶん6月であろう。間近に迫っている。今年どういうわけか、ラッキョウ畑の景観で卒論に取り組みたいと希望する学生がおり、先んじて現場を訪問し、農家の方に話をしておきたい、と思っていた。GW前に訪問するとしたら、この時間しかないと即断しての電撃訪問である。
 場所は懐かしい浜湯山。摩尼山を遠望できる。数ヶ所で作業をする農家の集団があり、さっそく畦をあるいて近寄り、草取りされているマダムに声をかけた。


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 不躾かとは思ったが、遠慮無く、

  あのぉ、ボランティアで作業を手伝いたいという学生がいるんですけど、可能でしょうか?

と訊ねると、

  えっ、ただでいいんですか?

と驚かれる。もちろんいいんですけれども・・除草・収穫・出荷・流通・種蒔き・開花に至るまで作業をつきあいながらお話をうかがい、卒業論文にまとめることになります、と説明した。基本的に認めていただいたが、次回はGWあけに当該の学生を連れていき、ご主人にも説明することとなった。


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遠景にみえるフタこぶ駱駝のような山が摩尼山です。左の低い峰が鷲ヶ峰、右の高い峰が山頂。


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雪のアルマーレ

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賢者の食卓

 先週半ばに降り積もった雪もこの週末で融けてきた。イブ・ミュアヘッドとヴィッキー・アダムスにまんまとしてやられたカーリング決勝を見終えた昼下がり、少し落ち込んだ気持ちを癒したくなり、冬のアルマーレに行きたくなった。市街地は路肩に微かな残雪がある程度で雪は降っていなかったが、9号線を東に進むに連れて雲行が怪しくなっていく。スペイン瓦の館に着いたころには粉雪が降り始めて芝生の洋庭は薄く雪化粧していたが、入館した直後から吹雪に変わり、ガラス窓の向こうのヴェランダがみるみる真っ白になっていった(↓)。


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 感染者が少ないと言われてきた鳥取においても、第6波は深刻である。オミクロンは鼻風邪のような軽症のコロナであり、2月上旬にはピークを迎えて感染者は一気に少なくなるであろう、という予想を覆し、ここ1週間は連続して陽性者が100人を上回り(23日は211人)、小学校などのクラスターが続出している。重症者・死者も全国的に多い。鳥取県と奈良県は、国の「まん延防止等重点措置」を拒否する自治体の双璧であり、当初はそれを支持する意見も多かったが、かくもリバウンドが激しいと反対の意見もしばしば耳にするようになった。
 鳥取県東部には外出自粛要請が出ている。法律的には何の拘束力もない「要請」であり、こうして私たちも海辺のカフェに足を運んでいるわけだが、ご覧のとおり、この日もまた心配ない状態であった。経営陣には申し訳ないが、この空間と風景を独占できることの快楽を知る人は決して多くないであろう。いまや私たちの隠れ家のようになっている。


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↑ブルース・コバーンを知ったのは大学1~2年生のころだったかな。変則チューニングでジャズっぽい幻想的な演奏をする。どうやったらコピーできるのか、悩んだものである。すでに76歳だとか。カナダの英雄です。


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四度目の竹田

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近くて遠い天空の城

 昨年12月19日(日)、大杉の民宿「いろり」を後にし、竹田に向かいました。これまでLABLOGで3回紹介されていますが、竹田城下町にも古民家(旧酒造場)を再生した宿泊施設(ホテルEN)があり、周辺の小型町家をも巻き込んだ事業が展開しているからです。大杉集落からは車でおよそ1時間の距離です。この日は町並み景観のフォトスキャンのための多重撮影、天空の城「竹田城跡」の登拝を予定していました。しかし、冬シーズンであるため、一般登山道が閉鎖されており、またそのルートのための電車やバスの時刻も限られていました。そのため、登山は断念し町並みの撮影のみになってしまいました。
 当日、なにかのイベントがあったのか、屋台がいくつか並んでおり、また宿泊施設付近の広場で和太鼓の演奏も行われていました。その日はきれいに空が晴れており、前日の雪が溶け、道のわきでたたずんでいました。風が冷たい中でしたが、人々の賑わいや町並みの雰囲気で少し心は温まったように感じました。


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竹田城の歴史

 兵庫県朝来市の古城山(標高353.7 m)の頂に築かれた山城です。室町時代、但馬の守護大名、山名宗全によって城の基礎が築かれました。播磨や丹波からの侵略を防ぐため、城は13年かけて造営されたといいます。城主は山名氏の武将、太田垣氏が5代にわたって務めました。しかし、築城から約130年後の、天正5年(1577年)に織田信長の命によって秀吉の但馬征伐が始まり、竹田城は落城しました。
 現在みられる石垣を整備したのは、天正13年(1585年)に新しい城主となった赤松広秀です。石垣には穴太(あのう)積みと呼ばれる有名な石積み技法が用いられており、400年以上経った今でも威容を誇っています。また、完存する石垣遺構としては全国屈指のもので、「日本100名城」にも選ばれています。
 城跡は早朝の雲海で有名であり、「天空の城」とか「日本のマチュピチュ」とも呼ばれ親しまれています。

※現在、但馬・播磨・丹波は同じ兵庫県内に位置しますが、室町時代はそれぞれ行政区分が異なっていました。
但馬 : 現在の兵庫県北部(豊岡市、養父市、朝来市、美方郡)
播磨 : 現在の兵庫県南西部(兵庫県神戸市垂水区・西区・姫路市・明石市・相生市・加古川市・三木市・高砂市・小野市・加西市・宍粟市・たつの市・西脇市・加東市・多可郡・加古郡・神崎郡・揖保郡・赤穂郡など)  
丹波 : 現在の(丹波市、福知山市、綾部市、南丹市、京都市右京区京北、亀岡市、丹波篠山市、京丹波町)



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竹田城下のホテルEN

 城下の大通りには、元木村家酒造場をリノベーションしたホテルENがあります。旧酒造場が拠点施設、周辺の町家が宿泊施設となっています。拠点施設にはフレンチ・レストランやカフェスペースも設けられており、観光客たちの憩いの場となっています。ENは地産地消を大切にしており、レストランの料理に地産品を多用しており、自家製ジャム、味噌、醤油などのマルシェを開催しています。また、竹田のマイスターによる家具やクラフト、味噌作りや醤油作りのワークショップなどのイベントも開催されています。
 家伝によれば、木村家のルーツは、武田信玄家臣の飯尾右京之進直利の次男であるといいます。武田家滅亡後、姓を木村に改め、現在の加古川に蟄居したと伝わっています。木村家が竹田に移り酒造りを始めたのは寛永2年 (1625年)頃です。その後2度の火災に遭って明治35年頃、現在の建物が再建されました。木村家当主は16代目です。
 さらにそこから、100年以上もの時を経て平成25年(2013年)11月10日、生まれ変わった旧木村酒造場は、建物の歴史性を尊重して、可能な限り“そのまま”にリノベートされました。その名前「EN」の由来は、様々な用途より、人と人との縁を結ぶ場所になってほしいとの願いからだそうです。


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三次もののけ まちづくり

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しもたやです

 広島県山間部の三次(みよし)は、天正19年(1591)、三吉氏が築いた比熊山城の城下町に端を発する。関ヶ原の後、領主は毛利、福島、浅野と変わる。藩政期城下町~明治・大正時代の風情をよく残すのが本町通り(歴みち石畳通り)で、北端に近い三勝寺の駐車場に車をとめ中央南寄りにある菓子店舗「風季舎 昌平本家」まで往復で町を歩いた。3月17日(水)午前のことである。
 町並みはおそらく「街環」で整備したものであり、「伝建」系ではないけれども、なかなか質の高い景観を維持・形成している。伝統的な町家も少なくない。ただし、ごらんのとおり(↑)、人影はない。人はいないが、もののけが跋扈している(らしい)。歩き始めてまもなく町家の縁台にパンフ類が置かれていたので、手にとってみていると、内側からマダムがあらわれた。珍しい旅客に目を輝かせて質問される。

  「どちらからお出でですか?」
  「・・・奈良です」
  「えぇっ、そんな遠くから、よくまぁこんなところまで・・・」


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 醤油醸造の古めかしい看板を目にしたので、「醤油を作っておられるのですか」と訊ねると、

  「いいえ、しもたやです」

とお答えになった。「しもたや」とは「仕舞うた屋」、つまりすでに閉業した店棚のことをいう。京都にいた学生時代にこの言葉を学び、今は学生に教える身分に変わったが、鳥取県内の旧市街地・街道筋で「しもたや」の語を聞いたことはない。否、京都時代から今に至るまで旧町人層の方が「しもたや」なる言葉を使うのを耳にしたのは初めてのことである。新鮮な驚きがあった。


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人形ともののけの世界

 本通りを歩いていると人形の店棚が多いことに気付く。広島県北部では、三月の初節句に子どもの誕生・成長への願いを託して、三次人形を贈る風習がある。三次人形は粘土を型にはめて成形・素焼きし、色づけしてニカワを塗ったものである。三次は人形操作師の辻村寿三郎(1933-)が青年期を過ごした町でもある。辻村は満州に生まれた。11歳で日本に引き揚げ、広島市内に1年ほど住んでいたが、原爆投下の3ヶ月前に母の郷里にあたる三次に疎開していた。本通りの南端近くに辻村寿三郎人形館がある。辻村といえば、NHKの『新八犬伝』(1973)や『真田十勇士』(1975)などの人形劇がただちに思い起こされるが、よくできた人形には魂がこもると言われるように、どこか神秘性や不気味さがつきまとう。
 三次には、こうした人形の性格と通じる物怪(もののけ)伝説がある。江戸時代中期の三次に実在した稲生(いのう)武太夫が16歳のときにさまざまな怪異に巻き込まれた。その経験を集成した『稲生物怪録』がよく知られている。これをまちづくりに取り入れ、尾関山公園の入口に「三次もののけミュージアム」があり、本通りの低い街灯群に物怪の絵をあしらっている。


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プロフィール

魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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