第9回「わびさび-茶室の心と技-」その1


ゴムアスから鉄板葺きへ
11月28日(木)。雨の予報が外れ、晴天のひろがるとても寒い昼下がり、男子はまず修復建築スタジオの軒先に残る鉄板を取りに行った。鉄板の端は鳥の糞で汚れており、ますは洗浄。その後、茶室まで移動した。現場では3班に分かれた。
1班: 大屋根にゴムアスを敷く(3名)
2班: ゴムアス上に葺く鉄板を専用のハサミで切る(2名)
3班: 妻庇に板の重ね葺きをする(2名)
1班は前週、床の間側に1枚のゴムアスを敷いており、今回はまずステンドグラス側の軒先から1枚敷いてタッカーでとめた。そして、棟を頂点にして左右のゴムアスを覆うように1枚のゴムアスを重ねる。葺き足が10㎝とやや短く心配なところもあるが、4枚使うのももたいないので、3枚重ねとした。前週もそうだったが、屋根板が大変すべりやく、屋根にのぼった人はみんな一度は滑り落ちそうになっていた。


2班はゴムアス上に葺く鉄板(トタン)をハサミで切りそろえていった。ステンドグラス側の大屋根の葺板長さは157㎝であり、鉄板の長さを165㎝とした。水切りを8㎝とったことになる。重ね葺きの方法は単純で、左右の鉄板を重ねあわせ、重ね部分の「山」の位置でビスを打つ。これで水漏れしない。雨水は「谷」の部分を通るからだ。屋根上に2名、軒下に1名がいて、鉄板を揃えながらビスを打っていく。ステンドグラス側は6枚を葺き重ねたところで、背面側のケラバに10㎝ばかりの露出部分が残ったが、ここには旧葺き材のビニール波板を重ねて防水処理した。鉄板とビニール波板の混合葺きでデコボコになっていた大屋根が見事な鉄板縦葺きに姿を変えた。先生は、「これで20年もつ」と豪語されていた。

↑鉄板切りそろえ(165㎝) ↓ステンドグラス側の鉄板葺き完了
