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夜の小噺

 水曜日は昼過ぎに学科会議をこなし、
 1コマだけ学生を指導したが、
 風邪の症状がみるみるひどくなっていくので、
 教授会を休んで早退することにした。
 それから先のことをよく覚えていない。

 たしか、コンビニのおにぎりを二つばかり食べた後
 医者がくれた白い顆粒の風邪薬を飲んだ。
 知らず知らずのうちに意識が遠のく。
 ときおり覚醒もする。起きて仕事を片づけなければ
 という意識もあった。
 明日は最終講義と長文レポートだ。
 とりあえず体を休めよう。

 明るい部屋で目がさめた。時計をみると、1時半。
 1時半・・・講義は1時からだ。
 大変なことになった。はやく連絡しなければ。
 まず学務に電話する。だれも受話器をとってくれない。
 (なぜなんだ、あんなに職員が多いのに)
 つぎに学部事務に電話した。だれもでてくれない。
 (なんだ、また本部に連行されたのか?)
 同じことを2度繰り返した。結果は同じ。
 警備の携帯を鳴らすしかない。
 しばらく待つと、ガードマンの声がした。

  「あぁぁぁ、13講義室で最終講義してんですが、遅刻して
  しまいましてね。急いで13講義室行ってくれませんか?」

 ガードマンは笑っていたのか、あきれていたのか、よく覚えていない。

  「せんせい・・・いま、深夜ですけど」




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プロフィール

魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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