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心のなかの部屋(4)

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心の余白-わたしの居場所はありませんか

 年末年始のロン化けで呆けているうちに、年度末が目前に迫ってきているではないですか。講義はあと2回、紀要の校正、報告書の編集、研究会・講演会(呼んだり呼ばれたり)・・・頭が痛くなってきたぞ。
 なにより急ぐのはP2&P4「初級英語で読むブータンの絵本」の発表会です。

 日時・会場: 1月21日(木)14:00~14:45 @13講義室

 というわけで、年末に送信されてきた学生のパワポを一気に校正しました。結構な作業量です。今回の翻訳でいちばん勉強になったのは room という言葉です。書題の Room in Your Heart を気楽に「心のなかの部屋」と訳しておりましたが、読み進めば、それがそうではない、ということに気づきます。


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 発表会を前にして、書題は「心の余白-私の居場所はありませんか」に変えました。原著に副題はありませんが、訳本にはあったほうがよいと判断した次第です。
 いうまでもなく、この民話の鍵を握るのは、room という言葉です。room といえば「部屋」ですが、この民話で「部屋」という訳語は一回も使っていません。文脈にあわせて「居場所」「余白」「余裕」などの語に訳し分けています。room の原義は「余ったスペース」です。たとえば、古代の竪穴住居など、大昔のワンルームハウスをイメージしてみてください(↑左)。家の中心にイロリの火があります。イロリの炉端(fireside)は家族みんながだんらんするスペースですが、炉端の外側にあった余白スペースが room なのです。建物の4隅周辺にできる room は物置になったり、寝床になったりしました。こうして出発した素朴な住居は徐々に進化し、大きな住宅になります(↑右)。大邸宅(mansion)では、部屋の中央に大きな居間(living)があり、そのまわりを部屋(寝室)が囲みます。ですから、昔の炉端(fireside)が居間(living)になり、余白としての room が部屋に発展したと考えられます。
 この物語の舞台となるおばあさんの小さな家は一部屋ですが、客人が来るたびに壁際(棚の下)にあるものを片付けるなどして、客人の入るスペースを作りました。この余白のスペースこそが room であると言えるでしょう。
 もしおばあさんの心に余裕がなければ、物置場所を片付けたりしないでしょう。心に余裕があるからこそ、何か別のことに使われている余分なスペースを片付けることができるのです(↓)。こうした心づかいによって、物理的に大きくなるはずのない小さな家の面積が実質的に広くなったということでしょう。おばさんの心の余裕(room)が家の余白(room)を大きくしたということを言いたいわけです。


room_02.jpg



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プロフィール

魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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