今年も、寅さんの風景(6)


5月24日(木)は1・2生合同で、鳥取篇「寅次郎の告白」を視ました。ストーリーが掴み難かったという感想もあり、視聴後、前作までのいきさつ-泉ちゃんと満男の高校時代、泉ちゃんの父母の離婚など-を説明しました。まずは1年生の感想から紹介します。今回から「あらすじ」は1作のみとし、感想文を多めに掲載します。
第44作「寅次郎の告白」(1991)
マドンナ(及川泉・聖子) 後藤久美子・吉田日出子
<映画のあらすじ>
寅次郎の甥の満男は恋焦がれる泉の東京での就職活動を手伝うもうまくいかず、泉も父と離婚した母に恋人ができたことで派手な喧嘩をし、悩んでしまう。そんな泉は家出して鳥取へ向かったが、そこでたまたま寅さんと出会う。満男も泉を追って鳥取に向かい、鳥取砂丘で三人は再会を果たす。その後三人は、寅さんの友人の聖子が女将を務める河原町の料亭に泊まる。寅さんは久しぶりに再会した聖子が今は未亡人であることを知る。聖子に思いを告白された寅さんは、いつものように身を引く覚悟を固め、女将もそんな寅さんをにこやかに千代川土手の停車場で送り出す。一方、泉は今回の出来事を通して、自分が幸せであるということに気づかされ、母と仲直りする。鳥取に残った寅さんもまた一人旅へ出る。(経営学科1年SDを若干改訂)
<映画の感想>
「寂しさなんて風で飛んでいく」という寅さんが寂しそう
今回の話は寅さんを演じた渥美清さんが、癌を発症していたころの演技だということでした。確かに以前の作品と比べると、タコ社長との喧嘩に威勢がない気がします。喧嘩がヒートアップすると声だけで二人の動きが映っていないことから、監督は渥美清さんの体を気遣っているのを感じました。途中でしゃんしゃん祭りが映りましたが、90年代の鳥取の街はまだ看板のフォントが古く、ここ20年でかなり変わるものだと思いました。昔の街はとても活気があって良かったです。倉吉での場面では、木造ですりガラスの引き戸の家が連なっているのが印象的でした。鳥取出身の先輩が「子供の頃遊ぶと言ったら山か川だ」と言っていましたが、川で遊ぶ子供を見て本当だと思いました。そして白くて大きな蔵とその蔵に沿っている川も昔ながらで素敵でした。そして、砂丘で二人が再会した場面では、満男が砂丘から転がり落ちていきましたが、本物の砂丘より映画の方が低く感じました。意外と高いのによく体を張って転がったなと思いました。そして寅さんと女将が良い雰囲気になっている時に、中庭の池に満男が落ちて恋が台無しになり、やっぱりこのパターンか、と満男が雰囲気を壊すのを期待してしまいました。二人と寅が別れる場面では寅は「寂しさなんて風で飛んでいく」と言っていましたが、それを言う寅がなんとなく寂しそうできっと二人の前で見栄を張っているんだなと思いました。
最後あたりで少しだけ若桜鉄道(安部駅)が映っていましたが、若桜も昔ながらの建物がたくさん残った良い場所なのに駅舎と線路だけしか映っていなかったので、少し残念でした。全体を見て、海も綺麗で自然も豊かで街も上品で鳥取はこんなに良いところだったと再発見することが出来ました。(環境学科1年SH)
満男は若いころの寅さんに似ている
今回の作品は、寅さんの出演シーンが以前よりも少なく、満男がメインになっていた。満男が泉をまっすぐに想う気持ちや、泉が母や就職で上手くいかないことに対するつらさや心細さが前提にあった。寅さんとさくらが腹違いの兄妹であったことに驚いた。寅さんは母親が消えてしまったからこそ、人一倍に家族を大切にし、なにより妹のさくらを大切にしているんだなと思った。満男は、若いころの寅さんのように、好きな人の為には一生懸命に追いかけてしまうところが似ていると思った。今回は、寅さんが座っているシーンが多いと思った。やはり病気のこともあってか、寅さん役の渥美清さんの元気がないような感じがした。タコ社長とのけんかのシーンでは、殴り合うシーンはなかったが、いつもの口げんかのやり取りで、これこそ寅さんだと思った。今回は、寅さんと東京の家族とのシーンが少なかったのが少し寂しい感じがした。鳥取のきれいな水や昔ながらの街並みがきれいで、朝のシーンでは、朝霧が出ていて自然にあふれた鳥取のイメージが伝わった。(経営学科1年ST)