『鳥取県の民家』を訪ねて(2)


№016④三百田家住宅
5月15日(水)。 ゼミ生全員で今年度初の野外演習にでかけました。3年生はこれまでおもに報告書から学んできた民家平面図と実際の空間の関係、とくに「間(けん)」という寸法の概念を実感し、さらにドローンやGPSデジカメなどの機材の使い方を学ぶことを目的として活動しました。
初めに、若桜町屋堂羅にある「若桜郷土文化の里」を訪れました。この敷地には、旧山陰合同銀行若桜支店社屋(現若桜町歴史民俗資料館・町建造物有形文化財指定)、無動山永福寺山門(現在廃寺・山門は町建造物有形文化財指定・金剛界胎蔵界曼陀羅は県指定・県博所蔵)とともに、№016④三百田家住宅主屋が移築公開されています。ここに示す番付は、012が『鳥取県の民家』の第1次調査番号、④が第3次調査番号です。今後のレポートでもこの番付の原則を踏襲していきます。
県保護文化財の指定は報告書に先行する昭和39年(1964)に遡ります。もとは同じ若桜町の吉川という集落に屋敷を構えていましたが、昭和58年(1983)に建物は町に寄贈され、平成5年(1993)屋堂羅に移築されました。


三百田家主屋は入母屋造の茅葺きで、典型的な「広間型三間取り」に復元されています。そのなかで畳が敷かれているのは「奥の間」だけであり、一間/半間がわかりやすいので、この部屋を演習の場所としました。四年生の先輩方に平面の描きかたを教えていただき、3年生も実際にその部屋の平面図を方眼紙に描いてみました。畳一枚(一間×半間)を方眼紙の2センチ×1センチとして平面を描き、さらに建具や天井などの略称や記号を書き込んで、より理解が深まりました。


↑(左)奥の間 (右)広間と奥の間の境


↑カマド(土間)と縦長のイロリ(広間)。イロリのキジリがそのままカマドの焚口になっている。