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風の谷 ポプジカ紀行(2)-第8次ブータン調査

0906シムトカゾン01遠景


シムトカゾン

 9月6日(金)、ブータン2日目 。朝食はホテルのレストランでいただきました。先生が大好きだという蕎麦粉たパンケーキを出していただいたのですが、一般的な甘いパンケーキと違い、ほのかな苦みがハチミツと非常にあっていて美味しかったです。
 朝食後、8時半ころホテルを出発。最初に訪れたのは、シムトカゾン Simtokha Dzong() という山城のビューポイントです。ガイドのウゲンさんによると、ゾン Dzong とは、防御的機能を備えた行政施設だそうです。シムトカゾンはブータン最古の山城=行政府であり、初代シャブドゥン、ガワン・ナムゲル(1594 - 1651)が造営したものです。現在では僧侶育成の学校として利用されているそうです。
 この場所からは谷奥の方向の山の上に大仏を見ることができました。ガイドさんのお話では、生きる人すべての世界平和を願って国内外からの寄付をもとに長い年月をかけて最近建立された大仏で、現在も周りの施設などの建設が行われているとのことでした。大仏や寺院に対して寄付を惜しまないブータンの人の信仰のあつさを感じました。

0906ドチュラ峠01 ストゥーパ群全景


ドチュラ峠の群集ストゥーパ

 シムトカゾンを後にして、次に訪れたのはドチュラ Dochula 峠です。ここには、小高い丘陵にストゥーパ(ブータン型チョルテン)が群集しており、さらに壁状の長いストゥーパもありました。3000mを超える高地ということで雲(霧)に包まれ、視界はよくありませんでしたが、群集ストゥーパの数を正確に数えることになりました。先生とザキオ先輩は配置図を描きながらのカウント、私はスケッチなしで数だけをカウントしていきました。私の記録ではストゥーパ群は3重構造になっていて、頂点にある大ストゥーパをのぞくと、総数108という結果が出ました。事前にガイドさんは108だとおっしゃっていましたし、インド人の観光客は「数えているのか? 108に決まっているだろ」と呆れていましたが、予想どおり108基+1基のストゥーパがそこに群集していたのです。そして3重の割り振りは、下段が45(9×5)基、中段が36(9×4)基、上段が27(9×3)基であることも分かりました。総数108基は12期×9となり、すべて9の倍数になっているのです。現物を前にして、実際に自分で数えて記録を取ることはとても貴重な経験になりました。


0906ドチュラ峠04 小ストゥーパ02 0906ドチュラ峠 docxサイズ ストゥーパ01


 数える時にストゥーパを初めて近くで見ることができたのですが、一つ一つのストゥーパに仏が入っているのが特に印象に残りました。この時にはストゥーパ群についてはこの時は比較的新しいものであるということしかわかりませんでしたが、後日ガイドさんが2003年に反乱勢力との戦争があり、その犠牲者の供養のために国王のお妃様がストゥーパ群をつくったということを教えてくださりました。
  群集ストゥーパの次に調査したのは、マニダンリム(壁状チョルテン)です。先生によると、群集ストゥーパよりもはるかに古いものだということでした。このストゥーパにはアミターユス(無量寿仏≒阿弥陀仏)が入っていて、壁の部分には真言が反復的に書かれています。ウゲンさんによると、その真言は「オンマニペニホンクリー」と読みます。8月に先生とザキオさんが調査された四川省の旧カム地区では「オンマニペメホンシュー」と書かれるのがそうで、2つの発音の違いに先生は驚かれていました。


ドチュラ峠05 壁状ストゥーパ01 全景
↓真言オンマニペニホンクリー(左)と無量寿仏アミターユス(右)
0906ドチュラ峠07 壁状ストゥーパ03 呪文 0906ドチュラ峠08 壁状ストゥーパ04 仏様


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プロフィール

魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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