みどりの眼鏡

ピーター・クックのように
わたしは眼鏡をよくなくすし、壊したりする。そのたびにパリ三城に直行する。先月の大杉訪問の後、暗闇の駐車場で眼鏡がホルダーからするりと抜け落ちてしまい、いくら捜してもみつからなかったので、遠近両用を電話で予約注文したところ、その直後に「眼鏡発見」のメールがあり、拍子抜けした。地面に落ちていた眼鏡は健常であり、注文をキャンセルしようと思ったのだが、考えなおした。遠近両用のサブがあってもいいじゃないか。ただし、普通のデザインではつまらないので、「緑のメガネ」を注文することにした。
ピーター・クックのことを思い出したのである。ピーター・クック(1936-)は、イギリスの前衛建築家であり、私が学生時代は「アンビルト・アーキテクト」を標榜するアーキグラムの代表であった。「建設しない建築家」とは、つまり、図面は描くけれども実物の建築は建設しない設計者のことである。べつに、私はピーター・クックに心酔していたわけではないけれども、お洒落な彼がかけていた緑のグラスに目を奪われていた。一度でいいから、ピーター・クックのような眼鏡がかけたいと思っていた。手にとるまで結構時間がかかった。店長が探し回り、日本で4本しか在庫のない品を取り寄せてくれた。値段は16,000円。遠近両用としては格安である。
上の写真が買ったばかりの眼鏡である。初見では皆笑う。やっぱりよくない、というか、似合わないのかなぁ、と思って、「これつけて授業するとまずいですか?」と問うと、皆から「いや、似合ってます」との太鼓判を頂戴している。まぁ、余生も短いので、やりたいことをやります。
ちなみに、今年はテレビ出演がままあり、次ぎの放送では必ずこの緑の眼鏡で出演しようと思っている。店長は必ず事前連絡してくださいと言って笑った。