マッコイ・タイナーとギターたち
バンジョーで奏でる前衛ジャズ
マッコイといえば、「恵比寿マスカッツ」や「女子アナの罰」のマッコイ斎藤・・・じゃありませんよ、コルトレーン4の全盛期を支えたピアニスト、マッコイ・タイナーです。マッコイ・タイナーが『ギタリスツ』(2006)というアルバムを出していたことを初めて知りました。ビル・エヴァンスにふさわしいギタリストがジム・ホールであるとすれば、マッコイ・タイナーにはまぁジョンスコあたりだろうな、とは予想されますが、ジョンスコを含む以下の5人のギタリストとの共演盤であります。
マーク・リボ(トラック1・2・3・6)
ジョン・スコフィールド(トラック4・5)
ベラ・フレック(バンジョー、トラック7・8・9)
デレク・トレックス (トラック10・11)
ビル・フリーゼル (トラック12・13・14)
リズムセクションは、ロン・カーター(b)とジャック・ディジョネット(dr)の名手2名。演目は「続き」にコピペしておきます。曲調は、いつものマッコイですね。モードにフリーの養分を絡ませた感じ。だからまぁ、コルトレーンの全盛期の再現になるわけで、「Mr. P. C.」(トラック4)とか「マイ・フェバリット・シングズ」(同9)はまさにトレーンですが、フォーク派のわたしが注目するのはアメリカン・トラッドの代表作「500マイル」(同3)と「グリーンス・スリーブス」(同11)を含むことです。さらにまた、「トレイド・ウィンド」(同7)「アンバージャック」(同8)「マイ・フェバリット・シングズ」では、ベラ・フレックにバンジョーを弾かせている。ペンタングルやニール・ヤングのバンジョーの使い方を彷彿とさせる曲調です。マッコイのような前衛音楽家がドリアン・モード的な曲にバンジョーを使うのはなんとも斬新ですが、すでに何十年も前にペンタングルやニールが非カントリー的な曲にバンジョーを用いていた。改めて注目しておくべきだと思いますね。ニールの「オールドマン」のバンジョーは忘れがたいメロディを奏でていた。D-F(Am)-C-Gのあの循環もDドリアンでいいのか?
恥ずかしながら、中古CDを即注文です。このアルバムをどこかで流せる日が来るだろうか。