摩尼寺紅葉コンサート2015にむけて(4)
灰色の瞳
チラシ原案完成後、さっそく深夜の盛り場で2軒営業しました。1軒めでは、56歳の男性客が「長谷川きよし」と聞いて目をぎらつかせ、食い入るようにチラシを読みこんでおりました。ところが40代から下はさっぱり反応しない。これは予想されたことです。悲観すべき要素ではありません。鳥取は少子高齢化の代表県だから、高齢者の占める割合が高い。55歳から60代後半の高齢者は長谷川きよしさんのことをよく知っています。「別れのサンバ」や「黒の舟歌」を聴いて青春を過ごした世代です。
蹴球酒場のマスターは40代ですが、やはり長谷川さんを知らなかった。しかし、いったんサッカー中継の映像を中断し、youtubeで「別れのサンバ2012」を流してくれました。そして、椎名林檎に反応し、長谷川&椎名の「灰色の瞳」も50インチの大画面で視聴させてくれました。やはり迫力がある。マスターはむしろ裏面のトレッキングにご執心の模様。もともとトレック好きで、一人で樗谿~摩尼寺をトレックした経験もあるそうです。だから今回は、摩尼寺門前からラッキョウ畑を横切り砂丘に至るショートコースに参加したいとのこと。精進弁当も楽しみにしておりました。翌日も食事や休憩を兼ねて何軒かのカフェ、レストランを訪問し、営業に邁進しました。
掲示ボード設置場所の検討
日が改まって8月22日(土)。久しぶりに摩尼寺を訪れ、関係者にイベントの説明をして、さらに登録有形文化財認定証掲示ボードの設置場所をとともに検討しました。掲示ボードのデザインはまだ秘密ですが、設置場所については、頭のなかで本堂と三祖堂のあいだのスペースをイメージしていました(↑)。米逸処(こめいっしょ)の『稲葉佳景無駄安留記』(1858)や昭和戦前の絵図に「位牌堂」が描かれており、「位牌堂跡地に掲示ボードを設置しました」とすれば、一種の遺跡表示にもなってわるくないと思っていたのです。ところが、現地を訪れると、水子供養像がすでに建っている。これはまずいですね。その後、鐘楼と閻魔堂のあいだの垣根に沿うスペースが候補となりました(↓左)。しかし、崖の際で地盤沈下が発生していることが判明し、こちらも断念(↓右)。
最終的に最有力候補となったのは、本堂の左手前です。いま大きな絵馬賭けのボードが建っています。表にも裏にも数多くの釘が打ち付けてあるのですが、絵馬はほとんど掛かっていません。表面に18枚、裏面にゼロです。サイズを測ると、設計中の掲示ボードより一回り大きいけれども大差はない。ここで全員が一つの思いを共有することになります。
1)古くなった絵馬掛けのボードを撤去して、登録文化財掲示ボードを建てる。
2)掲示ボードの裏面には釘を打ち並べ、絵馬賭けとしての機能を継承する。
3)絵馬賭けに隣接して立っている「お願いごとを絵馬に託して」の白い看板
(いちばん上の写真)は撤去するが、フレーズは新しい掲示ボードの背面
に残す。
こうすることで、①境内の景観を維持・向上した状態で、②本堂脇に登録文化財認証プレートを掲示でき、③絵馬掛けの機能も継承できます。この案が完全に承認されたわけではありませんが、非常によいアイデアであろうと自負している次第です。
↑絵馬掛けの採寸。幅210センチと大きめ。 ↓絵馬掛けの背面