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ツェゴ-命の着物(1)

160419 命の着物 表紙[web ver.] p.1 (表紙)

          ツェゴ -命の着物-

   テキスト(創話): クンサン・チョデン    イラスト: 石上 陽子


160501 命の着物 p3(トビラ) p.3 (トビラ)

           ツェゴ -命の着物-

   テキスト(創話): クンサン・チョデン    イラスト: 石上 陽子

160501 命の着物 p5 p.5

出版: リャン・ブックス(2013年)
ISBN 978 99936 899 4 2
タイプセット(活版写植): センチュリースクールブック
印刷: レプリカ・プレス

【作者おぼえがき】
 1970年代のはじめごろまで、ワクチン接種や免疫付与はブータンであまり普及していなかった。その結果、幼な子はさまざまな病気の危険にさらされ、乳幼児の死亡率はとても高かった。中央ブータンのわたしの村では幼な子の生存を確保し、長寿を授けると考えられていた風習があった。幼な子はツェゴ、すなわち「命の着物」として知られる衣服をしばしば着ていたのである。そのような着物は、幼少期を生き抜き、高齢まで生きのびた老人たちが分けあたえる布切れを縫い合わせて作られていた。このように、ツェゴは老人たちから若者に与えられた長寿をねがうおくりものである。
 
  *      *      *
 
 「攪拌器のなかで泡立つバター茶のよう」というフレーズは、以下のことを表現するのによく使う。
すなわち、赤んぼうが、大人に抱きかかえられながら、足で立ち上がりはじめ、飛び上がったり
降りたりしようとしている姿である。
 
  *      *      *
  
 ソヤラ(So ya ra)は多くのブータンの歌で用いられるリフレインだが、特別な意味はない。
 
  *      *      *
  
 アイエーモ(Aiee mo)は悲しみの表現である。


160501 命の着物 p6 160501 命の着物 p7 p.6-7


 デチェンはおかあさんのとなりにすわって、はたおりをまなんでいます。
 デチェンのおかあさんははたおりの下にすわりこんで、
 うつくしい布をおるたびに、
 糸をつめるうち板の音がタン、タン…
 赤のラインがなんどもくりかえし、
 黄いろくてまるいもようのついた、みどりのしまもよう、
 青とあい色のおびのついた、みどりのうずまき…
 むらさきの花ぞのにいるクジャクの首のはねのよう。


160501 命の着物 p8 160501 命の着物 p9 p.8-9

 デチェンのはたおりは色のない糸のたばばかり。
 あんではもつれ、あんではもつれ。
 テック、テック、テック…と
 デチェンの打ち板は音をたてます。
 デチェンはあきてしまいました。

  「かあさん、はたおりなんかもうしたくない」

 とデチェンはすすり泣くの。

  「すぐにうまくなって、わたしのようなはたおりになれるわよ」

 とおかあさんは話しかけます。

  「デチェンがうつくしい布をおれますように、ソヤラ」

 村の女たちはうたいます。

  「アイエモー」

 デチェンはかなしげに答えました。  【戸堀】





160430 バター茶サンプル 160430 バター茶攪拌


【注】
①バター茶(p.5):
 チベット、ブータン、モンゴルの遊牧民に好まれる紅茶。ブータンではスージャという。発酵茶葉を煮出してヤクや羊から作ったバターと塩、ときにミルクを入れて攪拌したものである。インドのチャイに近いが、塩味がややきつく、その点では味噌汁のようなスープとも言える。スージャづくりにかかせないのが攪拌器ドンモである。装飾性の強い民具であり、土産物店にも並んでいる。
   https://ja.wikipedia.org/wiki/バター茶(Wikipedia・バター茶)
   http://www.tibetplant.com/Trip/Tibet/butter.html(散策記・バター茶)

②ブータンのはたおり機(p.6)
 日本のような大型で、腰掛けることのできる大型のはたおり機ではなく、織機の下側に足をのばしてすわる素朴な構造をしている。話にでてくる beater を「打ち板」と訳した。専門用語では「筬(せい)」という。


はたおり機の細部名称02ブータン
↑ブータンの機織
http://blogs.yahoo.co.jp/yokko481226/52259136.html

はたおり機の細部名称01
↑はたおり機の細部名称(日本)
http://murata35.chicappa.jp/rekisiuo-ku/1506/index.html


この民話絵本の翻訳は以下のサイトに連載されてます。

命の着物-初級英語で読むブータンの民話
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1220.html
ツェゴ-命の着物(1)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1232.html
ツェゴ-命の着物(2)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1250.html
ツェゴ-命の着物(3)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1253.html
ツェゴ-命の着物(4)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1261.html
ツェゴ-命の着物(5)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1263.html

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Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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