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CL再現
今回のトーナメントを陰で操っているものは何なのか。イタリアがスペインに完勝した一戦を例外として、勝ってほしい、とか、勝つだろうと思う方が必ず負けてしまう。準決勝の独仏戦などはその最たるものであった。前半をずっとみていて、両者の実力差は大きく、世界王者のドイツにとってはフランスなど新興勢力の一つにすぎない、とさえ思われた。ところが、あのPKである。いろんな見方があるだろうが、普通、あれは採らない。あえて申し上げますとですねぇ・・・日本に会場を招致した排球チームのようではありませぬか。男子はそれでも負けるが、女子はおかげで勝ち上がる。フランスが対決してきたのは、GLではルーマニア、アルバニア、スイス、TMからアイルランド、アイスランドである(アイルランドまでは予定どおりで、アイスランドのところは常識的にはウェールズであった?)。強豪と呼べる国は一つもない。開催国の特別待遇が露骨にあらわれている。それに引き換え、イタリアは最初から優勝候補のベルギー、TMではスペイン、ドイツと続いた。ドイツはイタリア戦の延長死闘のため、負傷者2、黄札累積者1が出場停止となり、フランス戦ではボアテングまで怪我のため退場を強いられる。ボアテングの退場で試合は決まってしまったが、こんな状態でも、本来ならドイツという国は90分以内に追いついて最後は勝ちきるゲルマン魂をみせるはずなのだが、そうならなかった。
画面をみつめながら、このおかしな流れは何なのか、と自問自答する。フランスというチームは、言われているほど強いわけではなく、ポルトガルもまた予選3位通過という惨憺たる実力でありながら、決勝にたどり着いた。この流れを陰で動かしているものは何なのか。
しばらく考えあぐねたが、チャンピオンズ・リーグ(CL)の再現かもしれない、との結論に至る。左側の山は中堅国の群れであり、どこが勝ち上がってもおかしくない。しかし、この一群はレアル勢力の内部対決ととらえることができる。モドリッチ(クロアチア)、ベイル(ウェールズ)、ロナウド(ポルトガル)のだれが勝ち上がろうと、その代表チームを象徴するのはレアルの選手ではないか。結果としてみれば、ロナウドがいちばん運をもっていたということであり、決勝ではぺぺも復帰する。ポルトガルの中心選手はまちがいなくレアルだ。ヨーロッパ所在のチームでいちばん強いのはレアル・マドリードであり、それに唯一対抗しうるのがバルサだが、ユーロにMSNはいない。だから、バルサはレアルよりはるか格下であり、さらにバイエルンやユヴェントスよりも劣る。それを右の山の結果が証明している。
右の山はレアル以外の強豪対決だとみなしうる。まず、ユーヴェ(イタリア)がMSN抜きのバルサ(スペイン)を葬り、次にバイエルン(ドイツ)がユーヴェと死闘を演じてこれを仕留めた。そして、フランス代表はアトレチコの代替象徴である。2ゴールをあげたグリーズマン(アトレチコ)によって、バイエルンはトーナメントから姿を消したのだ。ドイツ代表が負けたことは受け入れがたいが、バイエルンが勝てなかったと考えれば納得がゆく。
つまり、このたびのユーロ決勝は、レアル(ロナウド&ペペ)対アトレチコ(グリーズマン)のCL決勝の再現としてとらえうる。この推測が正しいなら、ポルトガル(レアル)がフランス(アトレチコ)に【たぶん延長PK戦で】勝利することになるだろう。もしその反対の結果になるなら、CLのリベンジが果たされたと考えるしかない。
わたし個人は、不調ながら運を持ち続けているロナウドが勝利するような予感がしている。べつにロナウドが好きなわけでも、現在のポルトガル代表が好きなわけでもないけれど、今回の不可解な4強、つまりポルトガル(レアルA)、ウェールズ(レアルB)、ドイツ(バイエルン)、フランス(アトレチコ)の背景にあるものについて想像を逞しくするならば、そう思わざるをえないのだ。しかし、わたしが勝つだろうと予想するチームがいつも負けてきた。だから、衆目の予期するとおり、開催国フランスの優勝で幕を閉じるのかもしれない。
追記: いまひとつ余計なことを書いておこう。現時点でのMVPはガレス・ベイルだと思う。個体として、モノがちがう。