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2016居住環境実習・演習(Ⅱ)期末発表06

160727 最終(吉冨) ① 


(2)大鳥屋

 最後は大鳥屋の実測・作図演習の成果を述べる。
 大鳥家の平面図は2009年に東京芸術大学によって実測されており、芸大の平面図(図1)をもとに再採寸を試みた。この採寸の担当は吉冨・垣崎・木村先輩の3人である。

 図2は、1階と増設部分の採寸をした野帳である。大鳥屋の敷地が不整形で長方形でないため、まず外回りから全部測り直した。内部の細かいところは横に詳細図を書きだして寸法を記入していった。


160727 最終(吉冨) ② 


 図3は、2階と1階の一部を採寸した野帳である。大鳥家は中2階のため天井が低く、鴨居は低いところで160cmもなかった。

 図4は先生の野帳。書院造の特徴である長押の位置や、竿縁天井や根太天井といった天井の種類や方向などが記されており、自分たちで測ったものと合わせてみることで、大鳥屋平面の詳細が分かる。箱階段や正面2階の手すりは芸大の図面には描かれていなかったので、今回新たに実測した。


160727 最終(吉冨) ③ 

160727 最終(吉冨) ④ 


 今回の再採寸をもとに現在CADで描き起こしている途中である。図5は大鳥屋1階の平面図。芸大の平面図とは押入部分などずいぶんと幅が違うようにみえる。
 青丸で囲ったところはまだ採寸を終えていないので空白箇所ができてしまっている。オレンジの破線で示した部分が芸大の調査後に改築された部分である。この平面図には敷居線と長押の位置、天井の向きを書き入れている。長押は緑の部分。棹縁天井は和室で良く見られ、壁上部にめぐらした天井の回り縁に棹縁と呼ばれる細い横木を 30~60cm間隔に渡し、この上に板をのせた天井のこと。大引根太天井は2階床を支えるための根太を露出させた天井である。


160727 最終(吉冨) ⑤ 


160727 最終(吉冨) ⑥ 


 当初の平面は赤枠の部分と思われる(図6)。建設当初は食い違い四間取りと水色の破線で囲った部分のL字型の土間が複合していたのである。四間取りの奥の部屋が書院造で座敷飾をしつらえ、長押をまわしている。増設時に板ガラスで分断された正面玄関の腕木は増設部分の青枠の位置になる。
 次は大鳥屋の2階(図7)で、こちらもまだ作図の途中。大鳥家には階段が3箇所にあるが、2階は階段を上がっていったところが相互につながっていない。赤く囲った1階の四間取り部分の上はほとんど吹き抜けになっている。大鳥屋の補足調査の課題は、空白箇所の採寸・方位の記入・部屋の名称の聞き取り・記入です。今後補足調査を行い、平面図を完成させていく予定である。東京芸大の図面よりもレベルの高い作品に仕上げようと思っている。(吉冨)


160727 最終(吉冨) ⑦ 

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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