男はつらいよ-ハ地区の進撃(4)

連戦連敗-ドローン
8月30日(火)。首都ティンプーから西部のハ地区に移動しました。その前にパロ空港の航空管制局を訪ねる必要がありました。ドローンの飛行許可を得るためです。ドローンの飛行撮影については、7月から何度もブータンの受け入れ先に連絡しており、「大きな問題はない」ことを確認していました。ところが、28日の会食で、今枝先生ご夫妻は怪訝な顔をされるのです。「ハ地区は中印の国境に接しており、インド軍が駐留している。厳しいんじゃないか」と仰います。許可をとれば大丈夫だとガイドが言っていると答えたところ、「この人たち結構いい加減だから・・・」。
はたして、その予言は見事に的中しました。空港に着くや否や、ガイドのウタムさんが航空管制局に飛び込んで交渉したのですが、返事はアウト。その理由がまた強烈でした。この3月か4月、中国人の旅行者がドローンで王宮とタシツォゾン(城)を撮影しまくったことにブータン当局が激怒し、中国人の撮影データをすべてデリートし、その後、ドローンの飛行撮影が原則禁止になったというのです。ただでさえ○○嫌いの先生はとうぜんご機嫌ななめ・・・、ドローンを日本から担いできたわたしも口あんぐり??


ハへ向かう山道は激しく蛇行し、標高はどんどん高くなっていきました。問題はケントさんです。持病の車酔に高山病も重なり、苦しい思いの連続でした。一時間あまり走って、車はチェレラ峠でいったん停止。高度計の標高は3600mを示していますが、峠の看板には「ダンタク道路の最高点 標高3,988m」と書いてあります。この標高は道から山の上にあがったところではないか、と思うのですが・・・(仮に峠道が3,988mだとしたら、高度計の基準点高を修正する必要があります)
ところで、峠といえば、昨年訪れた青海湖南山の峠を思い起こします(わたしは行ってませんが)。チベット仏教における峠は天地の境であり、タルチョ、ロンダなどで彩られます。ブータンではさらにダルシンが林立します。峠は桃源ですね。


午後1時半にハ地区の民宿「ソナム・ジンカ・ファームハウス」に到着しました。車中、先生もわたしも眠っていたのですが、ケントさんがどんな具合だったのか、正直なところ、よく分かりません。外は雨。雨のなか、少女が車を誘導してくれました。門をくぐるとチンチン鈴の音が聞こえます。小池の噴水の水がマニ車をまわしてベルを鳴らしているのです(↑)。訪問者を浄化しているのかもしれません。宿泊地の標高は2800mを超え、階段を上がるだけでも息が切れてしまいます。荷物を部屋に納め、遅めの昼食をとりました。さきほどの少女が配膳係です。先生は早くも寅さんモードで、いろいろ話しかけています。こういう場合、たいていマドンナは甥の満男に恋してしまうのですが・・・
昼食後、さっそく調査にでかけました。しかし、途中から雨で中断し、多くの仕事を残すことになりました。 (くらのすけ)


↑左:昼食(採れ採れ野菜ばかり。ダイエットに最適ですが、やや塩味がきついので調整してもらうことに) 右:夕食(爆買いした松茸のソテー。ヤクのバターで炒めた。ややクセあり)