男はつらいよ-ハ地区の進撃(1)


ブッダが説いたこと
8月27日(土)午前11時半、TG便は関空を飛び立った。前夜、準備に手間どり一睡もしていない。機内食をたいらげるとすぐに眠くなり、2時間あまり意識を失った。目が覚めたところで、時間は有り余っている。本でも読むか。今回の旅には以下の2冊を携えていた。
①ワールポラ・ラーフラ (今枝由郎訳)『ブッダが説いたこと』 (岩波文庫・ 2016)
②森永卓郎 『モリタクの低糖質ダイエット』 (SB新書・2016)
機内で手にとったのは②の方である。目から鱗が落ちました。8月3日に健康診断があり、その一月前から20日以上ジムに通って、ある程度体重を落とすことに成功したのだが、減量は予想したほどではなく、その後の五輪三昧で大きくリバウンドした直後だったので、モリタクの見識にいちいち唸るしかなかった。要するに、デンプン・糖類を絶てばよいのです。デンプン絶ちと軽い運動を複合すれば、4ヶ月で20キロも痩せられる。②はそれを実践した記録です。還暦を前にして思う。もう少し前にこの新書を読んでおきたかった。7月の激しいジム・トレにあわせてデンプン絶ちしていれば、いまごろ10キロは痩せていたでしょう・・・
①は素晴らしい本です。道中どこでだったか忘れたけれども、「こんな凄い本があるんだ」と、くらのすけに見せたところ、目が点になって読み始め、「貸してください」というではないか。若いのに珍しい男だね。もちろん快諾して、文庫本はヤツがもったまま今に至る。あの世に往くまでに、こういう訳本を1冊世にだしたいものです。

今枝先生と会食
①の訳者、今枝先生はチベット・ブータン史学の国内第一人者であり、フランスで長く活躍されていた。①の著者はスリランカの仏教学者でやはりコレージュ・ド・フランスで研究していた。ワールポラ・ラーフラは最古の仏典に書かれた言葉のみに依拠して、ブッダの思想を平易に説いている。近い将来、学生と輪読してもいいなぁ、と思っています。くらのすけのような若者が集まってくれればいいけれどね。
ブータンに入国した8月28日、訳者の今枝先生(および奥様)とティンプーのホテルで夕食をともにした。先生は古典ブータン語(あるいはチベット語)のレッスンのためにティンプーに長期滞在されていたのです。初めてお目にかかるので、大家を前にしておおいに緊張したが、途中の道端で購入したばかりのマツタケに舌鼓を打つ、楽しい夕食でした。今枝先生と奥様に改めて感謝申し上げます。じつは、この会食にはクンサン・チョデンさんにも同席されることになっていたのですが、なんでも高熱を発して床に伏せってしまったらしい。「マウンテン・エコー」という国際的ワークショップのパネリストを務めるため、ウゲンチョリンから車でティンプーまで出てきたらしいが、今夏の大雨で道が荒れ果て、通常8~9時間の行程が13時間以上におよび、疲れから風邪をひいて発熱した、という情報がまことしやかに飛び込んできた。こんな体調のとき、無理をして面会をお願いするわけにもいかないので、『心の余白』和訳本と土産物はガイドに預け、病状恢復後に渡していただくことにした。



キラとテゴと朗読と
30日は会食以外はやることもない。街にでて、ブータン女性の着物を買った。これも、くらのすけの発案である。11月12日に開催予定のイベントでブータン民話を朗読する語り手のために買うのだとヤツは言う。まことにそのとおり、とわたしも買うことにした。スカートをキラ、上着をテゴという。手織りだと値がはるけれども、機械おりだと上下セットで2千円程度なので、さほどの負担にもならない。着ていただけるかどうかは分からないが、いざとなったら、だれかに譲ればいい。そういえば、ジムのコーチがチベット系の衣装を欲しがっていた。わたしは自分のために、バンコクでムエタイのパンツを買った。デンプンカットを続ければ、穿けるようになるだろう。(ケーシー)

How to wear a Kira (Bhutan's Traditional Dress)