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縄文-建築考古学、再び(3)

0815西鹿田05穴掘り01


穴掘り-周堤づくり

 骨組が完成したところで、昼休憩となった。好物の蕎麦である。蕎麦にもデンプンが多い。だから、蕎麦を食べ過ぎるのもいけない。ただ、西日本の蕎麦に比べて、北関東や北陸の蕎麦はミネラル質が強いように感じた。つなぎを何にしているのかは分からないが、岩宿の蕎麦は新潟のへぎそばに近い食感がある。まさか海藻のぬめりを使ってないよね。
 午後から穴掘りが始まった。最初に掘れ、と言われそうだが、この段階での掘削も道理がないわけではない。何度も述べているが骨組は堅牢である。しかし、足元が安定しない。足元を土で固める。その土(周堤土)には掘削土を使う。深さ15~20cmの浅い穴なので骨組があっても、苦にならず掘りきれる。そして基礎を固めていく。


0815西鹿田05穴掘り02


エゴ小舞

 ここでまたエゴノキが大活躍する。作業員さんたちは昼食後、山に入って新鮮な細いエゴノキを集めてきてくれた。これがよく曲がる。まずは周堤にそって垂木にまあるく絡めていく。ほんとうによく曲がるがとめるのは難儀なので、今回は結束バンドを使うことにした。旧石器~縄文では何を使ったのだろうか。蔓なのか、鹿の靭帯なのか。


0815西鹿田06えご木舞02 0815西鹿田06えご木舞01


 下から順に9段、エゴノキの木舞をめぐらせた。途中で若干の問題発生。エゴノキはよく曲がるが、元に戻ろうとする反力が強い。結果、垂木の下端を周堤の外側に動かしてしまう。そして思うのである。やはり周堤が十分な土が必要であり、場合によっては、垂木を動かないようにするための杭打ちなども必要であろう、と(実際に作業員さんは何本かの杭を打った)。反力を防ぐ方法はもうひとつある。エゴノキを短めに使うのだ。長ければ曲率が強くなり、反力が強くなる。短ければ、曲線は直線に近くなって反力を弱める。実際の建物は面積にして2倍以上の大きさがあるが、どれぐらいの長さでエゴ小舞を使うべきか、要検討である。


0815西鹿田06えご木舞03

0815西鹿田06えご木舞04 0815西鹿田06えご木舞05縦sam


0815西鹿田07なめし革葺01 0815西鹿田07なめし革葺02sam


なめし皮の屋根

 9段の小舞が取り付けられて、屋根の下地が完成した。さて、何を屋根に被せるか、と訊くと、ブルーシートだという。青いブルーシートだよ。ちょっと勘弁しておくんなさい、せめてグレーかベージュかモスグリーンのブルー?シートにしませんか、ということになって、だれかがホームセンターに行くことになった。そのあいだ、わたしとWC社の社長はちょっとでかけてくることになって、戻ってきたら上下の状態になっていた。(1)で紹介した鞣し革を部分的にかぶせていたのである。こういう雰囲気もなかなかわるくない。しかし鞣し革を、鹿の靭帯を裂いた糸でぬい合わせ、モンゴル・パオをくるむフェルト地のようにしたいという野心もある。さて、どうなるか。


0815西鹿田07なめし革葺03樹皮01


 同様に下地の樹皮マットにも野心がある。上の写真のように、ただ樹皮を重ね葺きするのか、いや縄文土器の網目紋様から樹皮マットを再現してみるのか。さてさて、どうなるか。


0815西鹿田08シート03 0815西鹿田08シート02内01


中古シートで仮葺き

 結局、わたしの所望するブルーでないブルーシートはなかなか量販店などでみつからなかった。灯台下暗し、である。博物館の作業場に汚れたベージュ色のシートが廃棄寸前の状態で放置されていた。これを再利用しようということになり、少しずつ裁断しながら、小舞上にまきつけていった。雰囲気がある、といえばあるが、骨組構造がみえなくなって、やや迫力がうすれたような気もする。遺跡上では骨組だけ復元して、多目的スペースに屋根までかぶせた復元建物をすべきではないか、という意見もでた。わたし自身、アムール流域で狩猟民がテントの骨組だけ残して移動していく状況をみていたので、遺跡上の浅い竪穴に骨組だけが建っている景観もわるくないと思う。


0815西鹿田08シート04全景01

 
 こうして、縄文草創期の復元住居の試作(2/3縮尺)が完成した。所要時間は5~6時間。まずまずの出来であり、史跡での復元にやや自信を深めた1日となった。 【まだ続】


0815西鹿田08シート04全景02 0815西鹿田08シート04全景03風おさえ01
↑屋根の上に風押さえの丸太をのせている。

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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