男はつらいよ-赤碕篇

塩谷写真記念館演奏会
9月25日(日)、赤碕の登録文化財「塩谷写真記念館」で開催された演奏会については、お気づきでないかもしれないが、LABLOGのほうで予め広報している。8月5日(金)に倉吉のドクターから「塩谷写真記念館演奏会」への参加依頼が届いた。人前でギターを弾かなくなって2年近い歳月が過ぎていたが、迷うことなく、お受けした。50代最後の演奏の機会を与えていただいたことに、とても感謝している。
弦は錆びて、調弦は狂っている。そのまま少しずつ修正し、練習を再開した。爪の状態は一ヶ月以上良好であった。それが、摩尼山の調査でバリバリ折れてしまった。しかし、演奏会前に爪が折れるのもいつものことである。弦を張り替えたのは9月21日(水)。リハーサルの前日である。リハーサルで4曲弾くことができて、少しだけ自信を取り戻せた。リハーサルに行ってよかった。感謝します。
25日(日)の演奏会は集合時間が12時だったが、半時間遅刻した。準備に加わることができず、申し訳ありませんでした。開場まもなく、河本家のご主人と奥様がみえられ、正座で挨拶した。河本家の調査をしていたのは46~47歳のころで、その2年後に家内が倒れて何度か入院を繰り返し、寂しさを紛らわすためにヘダウェイのギターを衝動的に買ったのが49歳のとき。あれから10年もの歳月が流れたんだな。

わたしの出番は5番目。すでに舞台衣装を身にまとっており、ヴェストで隠していた。寅さんTシャツである。首から吊すお守りと腹巻きが青白い肌着にプリントしてある。会場はどよめき、笑いに包まれた。当日の選曲はリハーサルの4曲と大きく変わった。ただし、寅さんメドレーだけは同じである。演奏曲は以下のとおり。
1.寅さんメドレー(インスト~弾き語り)
2.アンド・アイ・ラブ・ハー(インスト)
3.伊勢佐木町ブルース(弾き語り)


2と3はこれまで何度か人前で演奏したので説明省略。1は、2015年に練習した3つの未発表曲のメドレーである(キーはC)。
寅さんメドレー:
やっぱすきやねん~男はつらいよ~ラバウル小唄(以上インスト)
~男はつらいよ(弾き語り・2番の歌詞のみ)
「やっぱすきやねん」はタカジンが亡くなった後に玉置浩二のバージョンを知り、とくにイントロが気に入ったので、オルゴールを聴くようなバラード風に仕上げるべく編曲した。淡々と弾きたかった。これが事実上のイントロである。「男はつらいよ」は、山本直純作曲のメロディが抑揚に富んでおり、かなり細かくコードの割り振りをした。「ラバウル小唄」は寅さんに嵌っているころ、WOWOWでみた「連合艦隊司令長官 山本五十六」で流れていて、じーんと来たのでアレンジしてみた。
自分の演奏が終わり、休憩時間となった。疲労を感じたので、土間に設置されたカフェのカウンターに坐り、アイスコーヒーで少々休んでいたところに、河本家のご主人がやって来られて、しばし歓談。文化財の保管に係わる真剣な話題について、である。ちなみに、演奏の感想はというと、「飲み会の2次会の雰囲気でしたな、あはは」とのこと・・・
この日の聴衆は約30名。座敷一間びっしり、という感じである。数もおおいが、質も見事だった。普通、2~3組聴いたら退席され、客が入れ替わっていくものだが、今回はびくりともしない。休憩で半減することもなかった。非常に質の高いお客さまたちで、知っている曲も知らない曲も真面目に聞いてくださった。しばし考えた。お客さまの民度の高さもあるが、客を動かさなかった演奏者の向上もあるのではないか。2年前と比べれば、あきらかに演奏者のレベルの平均値が高くなっている。レベルの高い演奏を聴かせることができれば、客は動かない、ということではないか。わたし自身は2年間のブランクでレベルが上がったわけではないが、周囲のレベルが大きく向上したのだと思う。これから一緒に演奏する機会があるとは限らないけれども、おいていかれないようにしないとね。
こうした稀有のギター演奏会をコーディネートされたドクターに敬意を表します。ありがとうございました。 【続】
