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大雲院と鳥取東照宮(ⅩⅩⅤ)

20161005赤外線①


赤外線カメラを用いた試写実験

 研究室に未使用の大型カメラが2台あり、大雲院の美術品・建造物研究に使おうということで夏休みから準備を進めてきました。10月5日のゼミでは、3年生が立川の町並みに繰り出すなか、4年・院生5名は大雲院に残り赤外線カメラの試写をおこないました。赤外線カメラの機種はRICOH PENTAX 645D IRです。とても高価なカメラだと聞いています。赤外線カメラを使うと、摩耗などでみえなくなった墨書文字が浮かび上がってみえます。RICOH PENTAX 645D IRは従来の赤外線カメラとはちがい撮影した被写体に悪影響を与えない赤外線撮影が可能となっています。そのためゼミ生でも安心して赤外線撮影ができます。
 撮影する上で重要となってくるのがIRカットフィルターです。カットフィルターがなければ赤外線撮影はできません。この購入にはなかなか時間がかかりました。フィルターにも種類があり、研究室ではIR76 IR80 IR90の3種類のフィルターを仕入れました。数値が高いほど可視光をカットしてくれるのですが、その分写真全体が暗くなっていきます。被写体にあわせていくつかフィルターを変えて撮影したほうがいいかもしれません。夏休みの間は、鉛筆で書いた文字をマジックで塗りつぶしたものを赤外線カメラで撮影するなどいい加減な実験しかしていなかったので(文字ははっきり浮かび上がりました)、大雲院の活動では赤外線カメラの真価が問われます。


20161005赤外線②
(上)通常撮影  (下)赤外線撮影 *「吉隆」の隆が上では不明瞭だが、下では鮮明。
20161005赤外線③


 上の2枚の写真を見比べてみると、赤外線カメラの真価が分かります。かすれてよく見えなかった「こざとへん」の文字(隆)も、フィルターを通してはっきりと浮かび上がりました。今後古文書・棟札等を調べる上で大いに期待がもてるカメラだということが再確認できました。
 しかし、課題もあります。大きくて重たいカメラなので、多少の手振れでも大いに画像の乱れをきたすことから、撮影にあたっては三脚・レリーズを用いるべきでしょう。もちろんフラッシュも必要となります。今年は予算の少ない一年ですが、先生はしぶしぶ付属品の購入も認めてくださいました。一方、年輪等の撮影については赤外線カメラはあまり有効ではありません。年輪測定については、また専用の大型カメラがあり、いまキム3号が操作法を勉強中です。
 なお、使用上最も注意すべきは、不用意に人に向けて撮影しないということです。赤外線カメラによる盗撮事件が巷ではチラホラと挙がっているみたいで、そんな誘惑に鬢鬢かられないわけではないにせよ(冗談です)、そんな事件性も孕んだカメラなので、取り扱い要注意です。ひょっとすると、この2台の大型カメラが大雲院の美術・建築史研究に大きな成果をもたらすかもしれません。(麻原鬢鬢20)

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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