グルリンポチェがやってくる(2)


「グルリンポチェはほんとうにやってくるの?」
イエシェンちゃんは知りたいのです。
「そう、そうだよ。」
ドルマおばあちゃんはすすけた床をみがきながら答えます。
「どうしてグルリンポチェがくるってわかるの?」
イエシェンちゃんは知りたがりなんです。


「だって、グルリンポチェは月のこよみの
4月10日※7にやってくるからよ※8。」
ドルマおばあちゃんはまどわくのそうじをするために、
あまどをあけながら答えます。


「なんでこんなにいっしょけんめいおそうじするの?」
イエシェンちゃんはヘヤというヘヤの床をみがきながら、ふしぎに思って声にだすのです。
「グル・リンポチェをおむかえするために、おうちをきれいにしているからよ。」
ドルマおばあちゃんは答えます。


「みて、みて、アイエおばさんはやねうらまでおそうじしているし、
デチェンはおうちにあるものをみんなあらうために
学校をやすんだのよ。」 {槇野}
【注】
※7 原文: The tenth day of the fourth lunar month
直訳すると「4番目の太陰月の10番目の日」であるが、読みやすくするためにこう訳した。
太陰月とは朔望月ともいう。朔(新月)から次の朔まで、または望(満月)から次の望までの平均時間は約29.53日。

https://kotobank.jp/word/%E5%A4%AA%E9%99%B0%E6%9C%88-556394 (コトバンク)
※8 グルリンポチェがやってくる日
現在でも世界の中心である須弥山のさらに上方にあるサンドペルリ宮に住むグルリンポチェは、毎月10日に法要がおこなわれるツェチュの場所に戻ってくると信じられている。ツェチュは、ブータン中の仏教僧院で毎年おこなわれる祭礼のこと。太陰暦で月の10日目にあたる日を祝う宗教的行事。ツェチュとは「月の10日」を意味し、グルリンポチェの生涯で起きた12の重要な宗教的事件がいずれも月の10日であったことにちなむ。

http://www.gnh-bhutan.jp/area/fes.html
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http://www.travel-to-bhutan.jp/activity/tshechu (ブータン政府観光局 公式サイト)
【連載中のサイト:グルリンポチェがやってくる】2年
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