グルリンポチェがやってくる(5)

だって、グルリンポチェは
朝やけの光にのってやってくるんですもの。
グルリンポチェはもうすぐやってくるの。


ペム・リクジンおじさんはみんなに花をくばって言いました。
花々でグルリンポチェをおむかえしましょう。
おじさんは家のあちこちに花をおきました。

仏だん、戸ぐち、まどわく、
そしてカベのすきまにさえ花があります。
グルリンポチェはいたずら好きで、
じぶんの好きなところから
おうちに入ってくることができるんですもの。
グルリンポチェはかならずやってくるんだから。

ペム・ラムおばさんは赤いおばあちゃん牛のおちちをしぼっています。
ねえ、牛のおばあちゃん、
きょうはグルリンポチェにささげるため
あなたのおちちをぜんぶちょうだいね。
牛のいない家にもミルク※14をくばりたいの。
だからいやがらないで。
あなたのおちちをすべてだしきって。
木のバケツはいっぱいになって、おばさんは、赤牛をなでてやりました。
{金築}
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【注】
※14 ミルク
家畜として牛やヤクを飼っているため、チーズや牛乳を使った料理が多い。
写真(左)は牛の乳から作られた乾燥チーズ。石のように固く、ブータン人は飴のようにこれを舐める。

http://agro-ecology.blogspot.jp/2014_01_01_archive.html
(里山文庫 - ブータンの山村集落へ農と暮らしをたずねて・・・(5)ミルクロード~牛乳のとおる道)