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鯉に願いを-ネコノミクスの街(11)

1118大鳥01屋根裏01


大鳥屋主屋小屋梁墨書の赤外線撮影

 11月18日(金)は被災地巡礼のためだけに動いていたわけではありません。学生3名は倉吉市鍛冶町2丁目で大鳥屋の最終補足調査に取り組みました。私は大鳥屋小屋梁に残る墨書の赤外線撮影、3年生のうちきびたろうさんは大鳥屋土蔵の小屋組実測、同じく3年生のかっきーさんは残りの2名の補助にあたりました。


161118武田③


 私はつなぎを着て大鳥屋の天井裏へ上がりました。屋根裏は思った以上に暗く、小屋組の間を縫うように移動しなければならないため、足場もよろしくありません。ヘッドライトの明かりを頼りになんとか天井裏を一周してみたところ、たしかに小屋梁などに墨書がいくつか残っています。
 屋根裏での動きにある程度慣れたところでいよいよ赤外線撮影です。撮影するのは以前ケント先輩たちが見つけた小屋梁の墨書です。同行してくれたかっきぃさんには主に調査具の受け渡しを担当してもらいました。撮影はかなり難航しました。周りが暗いため辺りを懐中電灯で照らしても上手く映りませんし、フラッシュ焚いて撮影すると被写体が光を反射しすぎて白っぽい写真になってしまいます。そこでフィルターを何枚か替えるなど、試行錯誤を繰り返し、ようやく良い写真がとれました。調査をうけつぐ後輩たちのために、撮影手順を記しておきます。


161118武田⑥


【暗闇における赤外線カメラの操作マニュアル】
 (1)まず部屋を真っ暗にします。今回は、撮影する墨書の位置にもよりますが、外からの逆光を防ぐため、屋根裏と二階をつなぐ扉をしめ光を遮断しました。
 (2)次に三脚を立て、カメラを被写体に向けて構えます。このとき真っ暗の状態だとカメラは被写体とのフォーカスを合わせてくれません。そのため懐中電灯やヘッドライトなどで被写体を照らし、カメラのフォーカスを合わせましょう。
 (3)フォーカスを合わせ赤外線フィルターをかざしたところで、周りの灯りを全部消します。そうすることで余計な影をつくらずカメラのフラッシュのみで綺麗な写真が撮れます。ここで気を付けなければならないのがフラッシュの方向です。フラッシュを被写体に向けて撮影すると、被写体が光を反射しすぎるため上手く撮影できません。そこで、フラッシュを被写体から意図的にずらすよう上に向けます。フラッシュを焚いた時にフラッシュが被写体に掠るくらいの感触でちょうど良いと思います。こうして光の量を調整します。
 (4)使用した赤外線フィルターはIR90です。研究室にはIR76・80・90の3種類のフィルターがありますが、値が大きくなるにつれて可視光をカットする作用が強くはたらきます。赤外線カメラに備え付けるフラッシュは一般のカメラのフラッシュより光が強いため76・80の値のフィルターだと光を上手く透過できず、白っぽい写真になってしまうのです。一番光を透過するIR90のフィルターがフラッシュを使う撮影に適していると思います。


161118武田④


20161121梁墨書01番付 1118墨書01上のほう


 調査後数日して、先生が鳥取市教委のSさんに翻刻を依頼されました。非常に判読しにくい文字だそうですが、以下のように読めるだろうとのことです。

         い三十五
  壱丈四尺   五寸五分

 どうやら番付と法量を示す墨書のようです。すなわち、梁材の番付が「い-35」、その寸法は長さ1丈4尺(約4.2m)、断面径が5寸5分(約16.5㎝)ということだと思われます。天井裏は暗かったのではっきりみえたわけではありませんが、他の部材にもたしかに番付らしき墨書が散見されました。大鳥屋主屋は中二階の建築形式に加えて、腕木の様式が明治中後期を示しており、墨書によりそれを裏付けることができれば最善でしたが、残念ながら、棟札に類する文字史料ではありませんでした。しかし、番付であることがわかったのも意義あることです。Sさんに感謝申し上げます。
 今回の調査で、赤外線カメラのことがだいぶわかるようになった気がします。フィルターについて個人的な感想ですが、IR76は屋外などの自然光が十分ある場所での撮影、IR80は屋内やうす暗い場所での撮影、IR90は暗所でフラッシュを使う時の撮影といった使い分けが適していると思います。前回の赤外線撮影で少々扱いに困ったIR90については、暗幕などで人工的に光を遮断しフラッシュを焚くことで、より透過性の高い赤外線撮影が可能ではないだろうかとも思います。今回赤外線撮影が登録文化財申請にむけて少しでも役に立ってくれたら幸いです。(鬢鬢20)


161118写真⑦


大鳥屋土蔵のスケッチ

 私は一人土蔵2階小屋組のスケッチ・実測を担当しました。土蔵に入ると、天井には立派な柱が通っていました。一通り土蔵内を観察した後、スケッチに取り掛かります。しかし、土蔵の造りを理解できていなかったことが仇となってかなりスケッチに時間を使ってしまいました…スケッチを終えた後、採寸をかっきーさんに手伝ってもらいました。なんとか調査を終えて土蔵を出た頃には、とっぷり日も暮れて辺りは暗くなっていました。この日の実測図を元に、大鳥屋土蔵小屋組断面図をCADで清書します。この調査を通して、自分の理解のなさを痛感しました。土蔵の仕組みをしっかりと勉強した上で、綺麗な図面を完成させたいと思います。(きびたろう)


img-Y21085217-0001.jpg

 
 調査終了後、マッド・アマノさんから私ときびたろうさんにだけ鉢植えのバラをプレゼントしていただきました。先生によれば、「愛の告白」だそうです。私がいただいたバラはまだ花が開いていないので、大事に育てたいと思います。(かっきー)


ばらばらびんびん

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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