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落葉-板井原その後(2)

161124板井原⑫ 煙のでない白炭


オーセンティックな山里の味

 集落から炭焼き小屋までひとまわりし、午後一時すぎから、古民家レストラン「火間土」で昼食をいただきました。御年84歳のご主人と奥様の作られた釜焚きご飯と山菜料理。先生の言葉を拝借しますと、なんともオーセンティックな味がします。オコゲのついた釜焚きご飯、なめこ汁、大根の煮物、板井原こうご、山菜の天麩羅など、なにを食べてもおいしく、健康的です。赤波川の水を傍らにおいて、ご飯となめこ汁を何杯もおかわりしました。私はと言えば、ごはんのあまりのおいしさに感激して3杯おかわり、内蔵助は4杯おかわりです。グルテンフリー(デンプンカット)中の先生とケントさんまで、オコゲごはんをがつがつ食されていました。ここのご飯も澱粉の固まりですが、どういうわけか不健康な感じがしません。ともかく美味しい。美味しいの一言です。
 食後は、卒論の指導に移行しました。卒論の締切が刻一刻と迫っており、先生の指導も熱が入ってきています。私は移動中の車内で先生からレクチャーを受けていました。私の卒論と板井原が関係しているからです。その話題をゼミ生の前で話しました。


161124板井原⑬ 161124板井原⑭


自治体選定伝建地区の意義

 板井原は鳥取県選定伝統的建造物群保存地区(以下、伝建地区)である点です。文化財保護法の記載に従うならば、まず市町村自治体によって伝建地区を設定し、その中から文化財的価値の高いものを重要伝統的建造物群保存地区は(以下、重伝建地区)に選定するべきです。2016年7月現在、日本全国で43道府県92市町村の112地区が重伝建に選定されていますが、市町村の選定する伝建地区は0件、県指定の伝建地区は板井原が全国唯一です。「猫も杓子も重伝建地区」といった状態であり、1990年代前半までに選定された重伝建が「国宝」レベルであるとするならば、最近の選定例の過半は「市町村指定文化財」のレベルであって、同じ重伝建でもレベル差が大きくなりすぎています。ここは文化財保護法の記載に立ち返り、猫も杓子も重伝建ではなく、ひとまず自治体選定の伝建地区を経由して、重伝建に格上げすべきかどうか、については慎重に審議すべきだというのが先生の考え方です。


1123ケント08上板井原


 なにもなしか重伝建かという二者択一の背景には、予算の問題があります。市町村等自治体の予算は不足しており、国の重伝建にならないと十分な修理・修景がないしえない、と判断されるからでしょうが、この解決方法は二つあると思われます。一つは自治体選定の伝建地区に対しても、重伝建の1/3~1/2の補助金を国が助成するという制度を確立することです。不足する経費を自治体側が工面して修理・修景に尽力すれば、5~10年で成果があらわれるので、その成果を再評価して重伝建に格上げするかどうかを検討すればよいのです。もうひとつは重伝建についても「登録」の制度を導入することです。補助金は重要伝統的建造物群ほど多くはないけれど、登録伝統的建造物群保存地区についても国が設計費などを補助する制度を適用すればいい。他の文化財カテゴリーでは「登録」制度が普及浸透してきているのですから、町並みにもその制度を敷衍することはできるはずです。
 こうしたアイデアはまだアイデアでしかりませんが、板井原だけでなく、倉吉河原町、若桜、上方往来(河原・用瀬・智頭)、そしていまわたしが取り組んでいる立川周辺の歴史的市街地の景観保全にとって有効と思われるのです。それだけ、モデルケースとしての県選定伝建地区「板井原」の意義は大きいものであり、失敗は許されないでしょう。


1123ケント04記念撮影


1123ケント02yutori 歩とり


落 葉
 
 板井原には「火間土」以外に「歩とり」という古民家喫茶店もあります。以前は「野土香」という名前でしたが、オーナーが何代か代わり、いまは新しいオーナー夫婦が「歩とり」を経営しています。新しい名前のお店で新しいメニューを味わいたいとも思ったのですが、一部の学生が夕方のバイトに追われており、あまり時間が残されていませんでした。
 食後の訪問地は板井原神社です。「鳥取県 紅葉」とネット検索すると上位ででてくるほど紅葉が美しい場所として知られています。紅葉の最盛期は過ぎていました。12~13日がいちばん綺麗だったそうです。吉川さんの朗読会があったころですね。神社はすでに落葉のシーズンを迎えていました。境内一面が紅葉・黄葉の絨毯です。神社から周辺の山をみわたしました。紅葉はほとんど感じられません。それは落葉が原因ではなく、スギの植林地の広大さに原因がありました。針葉樹林は1年中ミドリのままです。それだけ原生林が減ってしまい、秋を感じさせる紅葉も落葉もみられなくなってしまっている、ということです。


161124板井原⑮ 161124板井原⑯
↑板井原神社の紅葉 ↓神社から集落と山並みを望む
161124板井原⑰


下板井原と赤波川おう穴群

 帰途は用瀬経由の山道をとおりました。まず廃村の広場に下車しました。智頭町の板井原は正式には「上板井原」と言います。この兄弟村にあたる用瀬町の「下板井原」は十数年前から廃村になっています。上板井原もなんらかの対策を講じなければ下板井原と同じ運命を辿ることになるでしょう。その場合、県選定伝建の適用は解除ということになります。そんなことがおこってよいのでしょうか!?


1123ケント05下板井原 下板井原


 そこからまたしばらく走って、こんどは川岸に車をとめました。鳥取市指定天然記念物「赤波川渓谷おう穴群」が車窓にあらわれたからです。おう穴とは、河床の節理(割れ目)の交点が水の流れによって回転する磯の研磨によってできる丸みを帯びたくぼみです。先生はどんどん下流に下りて各種のおう穴を撮影されていましたが、学生は気楽なもので、水場に近づいてはしゃいでいただけです。先生によれば、「毎度のこと」だそうです。【完】  (ゆめみし)


161124板井原⑱ 1123ケント06赤波01sam
↑赤波川おう穴群
1123ケント07近代和風01 1123ケント07近代和風02縦sam
↑赤波川下流域の近代和風住宅。茅葺き民家を改装して低い2階を増築したものであろう。板井原の養蚕型高二階とは大きく異なる。

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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