大雲院と鳥取東照宮(ⅩⅩⅦ)

11月28日(月)。大雲院で久しぶりに仏教美術品の調査をしました。基本的には補足調査としての位置づけです。具体的には、懸仏の詳細な写真撮影、密檀・護摩壇まわりの仏具(一部)の撮り直し、棟札の赤外線撮影や不動明王厨司翻刻の精査等です。11月も終わりに近づきグッと冷えこんだこの日、出迎えの住職さんも衣服を着こんでおり、本格的な冬の訪れを実感しました。
懸仏の精査
細かい紋様の記録、像高や光背高などの採寸に取り組みました。写真も揃いだし、フォトスキャンでのモデル作成が視野に入るのですが、長いこと鴨居上に掛けっぱなしで、貴重品であるため、おいそれと触れないことが災いとなり、ホコリまでも写ってしまいました。いちど慎重かつ丁寧に掃除して撮影すべきかもしれません。


密檀・護摩壇法具の再撮影
これまでの調査で撮影計測した仏具をデータベースに入れていたのですが、単純に写りが悪かったり、撮影日の都合で個別での撮影できていなかったものがあったため、改めて撮影しなおしました。データ入力の際に最も困ったのは、仏具の形状の違いによる計測箇所の違いだったので、今回はシンプルに最も長い(太い、厚い)部分を起点として特徴的な場所を別枠記入という形にしました。また、棟札の撮影の方で赤外線カメラを使用するとのこととだったので、一緒に経典の赤外線撮影をしました。残念なことに浮かびあがった文字はありませんでしたが、一部の文字は住職が覚えておられたので大まかな内容は記録することができました。また、今回計測したものの中に制作年代を示す銘が発見されたのは嬉しい収穫です。


棟札赤外線撮影
かつて赤外線jカメラ試写の際に棟札の一部の撮影はしましたが、今回は棟札全体を赤外線カメラで撮影しました。不確かであった墨書の痕跡が鮮明に浮かび上がり、翻刻に確信がもてるようになりました。(キム3号)

