グルリンポチェがやってくる(7)

いちばんはじめにかがやく朝やけのひとすじの光が
山のいただきからひろがって

あけはなしたマドから家のなかに入りこみ、
仏だんをあかるくてらしたとき、
イェシェイちゃんはワクワクむねをはずませます。


グルリンポチェがやってくる。
少女はしあわせそうにさけびます。
そう、そうなのよ。
しずかにドルマおばあちゃんは言いました。
グルはかならずやってくるの。
イェシェイちゃんはお祈りの合掌(がっしょう)をし、
ドルマおばあちゃんは法要の水さしに入った水をふりまきます※17。


ようこそ、グルリンポチェ。
いつものように、わたしたちのおうちと心のなかに入ってきて。
グルリンポチェ、チャップ・スー・チェ(われを救いたまえ)※18。
イェシェイちゃんはドルマおばあちゃんの言うことをくりかえします。
チャップ・スー・チェ(われを救いたまえ)、グルリンポチェ。


イェシェイちゃんの目はおどろきでいっぱいになり、
ドルマおばあちゃんのほうをふりむいて、
グルリンポチェはほんとうににやってきたわ、と
つぶやきました。


いまたしかにわかったわ、
グルリンポチェは朝やけの光にのってやってきたの。
![グルリンポチェがやってくる p58[裏表紙]](https://blog-imgs-100-origin.fc2.com/a/s/a/asaxlablog/20161202233704fe5.jpg)
イェシェイちゃんは中央ブータンのとある村にくらしています。
こうき心おうせいな少女は、おばあちゃんがとくべつなお祭り※19のじゅんびをするのをみたり
手伝ったりしながら、聞きたいことで頭がいっぱいになりました。
お祭りのなかでもっともワクワクするのはスペシャルゲストの来訪です。
その人はいったいなに者で、ほんとうにやってくるのでしょうか? {坂本}
【注】
※17 法要の水さしに入った水をふりまきます (sprinkles water from the ritual vase)
仏教において水をふりかける行為を「灌頂(かんじょう)」という。 古くインドで国王の即位、または立太子のさい、頭頂に水を注いだ儀式から転じたもの。以下のタイプがある。
㋐菩薩が最終の位にはいる時,仏が智慧の水を注ぐこと。
㋑密教の儀式。伝法・授戒・結縁などのとき、香水(こうずい)を受者の頭に注 ぐこと。
㋒墓参りなどのとき,墓に閼伽(あか)の水を注ぎかけること。
http://www.weblio.jp/content/%E7%81%8C%E9%A0%82 (wablio - 灌頂)
※18 chap su che : I take refuge
「わたしを救ってください」の意と思われる。
※19 とくべつなお祭り
すでになんども述べてきたように、ツェチュ祭のこと。ツェチュで必ずおこなわれるのが仮面舞踊「チャム」である。仏教の教えを人びとにわかりやすく伝えることを目的とした舞踊で、数ある舞の振り付けはすべて事細かく定められ、書物や経典に記されている。


http://www.gnh-bhutan.jp/area/fes.html
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【画像編集担当】
p.-1〜05: 錦織
p.06~14: 坂本
p.15~21: 中西
p.22~27: 大関
p.28~35: 有田
p.36~44: 槇野
p.45~58: 金築
【今後の予定】
12/1(木) 2年生
8(木) 1年生
15(木) 2年生
22(木) <休み>
《冬期休暇》
1/12(木) 1年生(場合によっては2年)
19(木) 1.2年合同(製本、報告書、webページ)
26(木) 1.2年合同(製本、報告書、webページ)
31(火) プロ研発表会