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縄文-建築考古学、再び(5)

1210西鹿田01住居地02 1210西鹿田02所在証明01


定住開始期の屋根材をどう考えるか

 群馬のからっ風は冷たい。上左の写真には寒さが映っているでしょう? 西鹿田中島遺跡の整備は順調に進んでいる。こんなに風が冷たいと、順調に進んでいようといまいとどうでもよくなるね。早く屋内に戻りたい。
 そういえば、出張先では地名のわかる証拠を写しこんだ地鶏写真が必要なのであった。前にも述べたように、ガラケー&一眼レフでは地鶏不可能なので、今回は舎弟に撮影をお願いした。上右の写真をクリックしてください。わたしは群馬県みどり市に所在する国指定史跡「西鹿田中島遺跡」の整備現場をちゃんと訪問しております。この問題について、少し考えなおしたんだけど、GPSデジカメが有効に機能するんじゃないでしょうかね。緯度・経度情報が写真に付加されるわけだから、地名を写しこむ必要がなくなる。マカオにもっていって試してみよっ。


1210西鹿田01住居地01 住居建設予定地


 整備委員会は12月10日(土)に岩宿博物館で開催された。その2日前に2棟めの復元住居が試作されている(小生不参加)。必要な鹿なめし革の枚数を把握するための実験的復元であり、規模は1/2とされた。その結果、やはり原寸の場合、鹿革は100頭分必要であることが判明した。これについては、結構風当たりが強かった。問答を再現しておきましょう。

  問: いくらなんでも1棟100頭の鹿っていうのは多すぎるんじゃないですか?
  答: 博物館の庭に展示してあるグラヴェト文化(ウクライナ↓)の後期旧石器時代住居
   はマンモス100頭分の獣骨を使っているんですよ。旧石器時代というのは狩猟社会なん
   だから、毎日のように鹿を捕って食べていたにちがいない。狩猟を最も重要な生業として
   いる場合、100頭分の革や骨をためおくのは難しいことではないはずです。
 
 この問題について、地元の委員から「現在でも毎年100頭以上の鹿が捕獲されるので、それだけの革を提供することはできる」という心強い助言を頂戴した。


0809グラベト01
ウクライナ・グラヴェト文化(約2万年前)の住居復元レプリカ@岩宿博物館


1210西鹿田03土器01 1210西鹿田03土器02sam


  問: 岩宿文化賞の選考委員が笹葺きではないか、とおっしゃっていましたが・・・
  答: まず草葺きの屋根がいつ出現したのか、考古学的によくわかっていません。樹皮の利用
   はおそらく縄文中期まで遡るが、草葺きが中期まで遡る保証はない。笹葺きと気楽にいうが、
   どうやって葺いたのか。シベリアや東欧の後期旧石器時代の住居跡で獣骨を多用したことが
   分かっているので、獣皮の利用は当然想定できる。また、遺跡で出土した土器にマット状編物
   の圧痕が残っています(↑)。編物は存在したわけですから、獣皮か編物を葺き材とみておく
   のが妥当と思われます(円錐架構に対して樹皮は重すぎる)。


0809グラベト02陽光
 

 住居の明るさについても質問が及んだ。

  問: 革屋根住居の内部がとても明るいので驚いた。真っ暗な竪穴住居とかなりイメージ
   が異なるが・・・??
  答: 対象となる時代は遊動的な狩猟社会が定住的な狩猟採集社会に変わろうとしているプロセス
   の真っ只中にあるわけです。建物には柱がなく、なおテントの構造をしているが、その床を掘りくぼ
   めて容積をひろげようとしている。そういう段階ではまだ、屋根はテントと同じだから明るくても仕方
   ない。こういう構造を母胎として、屋根を土で覆ったり、草を葺いたりして、建物は頑丈になり、屋内
   は暗くなっていったのでしょう。


1210西鹿田04テント01二つ01 1210西鹿田04テント01二つ02革sam

1210西鹿田04テント02 1210西鹿田04テント03縦存在証明
↑右:わたしは岩宿博物館にいたのです。

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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