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マンダリン・マカオ(1)

1224廬家大屋1010 廬家


マカオ歴史地区の中国的遺産

 なんどか述べたかもしれないが、澳門は三度めの訪問になる。一度めは2001年の3月、本学に着任する直前だった。コロアネ島にあるエッグタルト発祥の店、ロード・ストウズ・ベーカリー(アンドリュー)でエッグタルトを買い込み、対面の広場の椅子に腰掛けて背伸びしながら青空を見上げ、解放感に浸っていた。オレは彼岸に行ける・・・現実はそんなに甘くなかったが、此岸からワープして新世界に飛翔する前の快感を澳門で堪能した。


1224廬家大屋1011 1224廬家大屋1013縦 廬家


 2回めは2006年の冬。澳門は変革を迎えていた。前年(2005)、「マカオ歴史地区」がユネスコの世界文化遺産に登録されたからだ。マカオ歴史地区の構成資産は23の歴史的建造物・庭園と8ヶ所の広場からなる。その大半はポルトガルの植民地遺産だが、中国的(マンダリン)なマカオもちろん含んでいる。媽閣廟はマカオの語源及び起源と係わる海神の祭場であり、盧家大屋と鄭家大屋は中国人の住宅である。規模からみれば、盧家は中型、鄭家は大型に分類されるであろう。


1224廬家大屋1012 1224廬家大屋1014 廬家


廬家と鄭家

 10年前(2006)のレポートから再録しておく。廬家屋敷(廬家大屋)はマカオに残る数少ない中国式大邸宅として世界遺産に登録されている。清末、光緒十五年(1898)の建築。中国の大富豪にして銀行家、マカオの「カジノ王」とも呼ばれた廬華紹(廬九)の旧宅である。南方中国に特有な天井(テンセイ=小さな中庭)をもつ2階建ての住宅。ステンドグラスをはじめ、ポルトガル風の装飾が散りばめられ、清末中国の過剰装飾を抑制して、えもいわれぬ微妙な中葡折衷の意匠を生み出している。


1225鄭家1027かご道01 1225鄭家1027かご道02sam
鄭家轎道


1225鄭家1023階段01 鄭家階段


 もう一つの世界遺産たる鄭家大屋(鄭家屋敷)は修復中で公開されていない。外観は廬家よりも中国的にみえたが、このたび入手した林発欽(主編)『澳門歴史建築的故事』(澳門培道中学歴史学会、2005年7月)によると、アールデコなどの洋風近代意匠の影響を受けているという。この住宅は、中国近代の著名な思想家・鄭観応[1842-1922]の生家としてよく知られている。建築年代は1881年前後。施主は鄭観応の父親である。  【続】


1225鄭家1022中庭01 1225鄭家1022中庭02
↑↓鄭家の中庭と蔀、ガラス代わりの明瓦(貝殻のはめ込み)
1225鄭家1022中庭03 1225鄭家1020パネルsam

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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