立川~樗溪の町並み調査(8)

谷口ジロー氏の足跡をたどる
あけましておめでとうございます。ASALAB4年のゆめみしです。1月11日(水)、新年最初の全体ゼミが開催されました。じつに3コマにおよぶ長丁場のゼミになりました。修論・卒論提出予定者全員が冬休み中の成果について報告したからです。ASALAB以外でも、多くの学生が卒業研究に苦戦しています。かくいう私もその1人でして、立川~樗溪の町並みを主題としたものの、都市絵図の解読や谷口ジローの漫画『父の暦』に描かれた風景描写の分析でなかなか前に進みません。今後も精進して卒論に取り組みます。
わたしの卒論と係わる講演会が昨年末開催されました。12月20日(火)、たくみ21の12月例会として西尾肇氏が「ルーブルが認めた漫画家-谷口ジロー、画業45年の軌跡-」と題する講演をされました。上に述べたように、『父の暦』『父の暦』に描かれた立川~樗溪の町並みの解釈を卒論に含むので、わたしも聴講させていただきました。
西尾肇さんは元鳥取市立中央図書館館長であり、現在は鳥取短期大学にて非常勤講師をされております。少し前まで環境大学の人間形成科目「まんが文化論」も非常勤講師をされてました。西尾さんは作者、谷口ジローと親交があり、作者の幼少期の写真、作者未発売の書籍も所有されております。今回の講演では谷口ジロー氏の生い立ちを中心に、氏の作風の変遷や活躍をお聞きしました。

講演の内容を踏まえながら谷口ジローの経歴についてわたしなりに要約してみます。
谷口ジローは1947年に鳥取市に生まれました。中高時代は、1960年にさいとうたかをの作品や、山川惣冶の『少年ケニヤ』などのような絵物語の影響を受け、当時描いた絵画帳に影響が反映されています。高校卒業後、京都でいったん職に就きますが、1966年に玄太郎の紹介で『原人ビビ』の作者、石川球太氏のアシスタントとなるべく上京します。その後、1971年に「嗄れた部屋」を『週刊ヤングコミック』に発表し、デビューを飾りました。1972年には絵本『ぐしゃままにたら』を描き、1974年には『学習漫画 シートン動物記』全12巻のうち4巻の作画を担当しました。
デビューまもない1972年、スイスのグラフィック誌『GRAPHICS』に掲載されたジャン・ジロー(メビウス)の絵と出合い、衝撃を受けます。以降、ジャン・ジローの影響を強く受けるようになります。1990年に連載された『犬を飼う』において、日常的な光景を描いたことが話題となり、『歩く人』『欅の木』『父の暦』『遥かな町へ』でも同様の手法が用いられました。また1992年に『歩く人』が谷口氏の作品で初めてフランス語出版され、同国で話題となりました。その後、鳥取を舞台とする三部作『父の暦』『遥かな町へ』『魔法の山』がフランスでも話題となったのは周知のとおりです。
現在の谷口ジロー氏は、時計メーカー「カルティエ」の新モデルをモチーフにした漫画、ルイ・ヴィトンが発行したベネチアのガイドブック、ルーブル美術館のBD(バンドデシネ)プロジェクトに参加して描いた漫画(邦題は『千年の翼、百年の夢』)、今年3月に発売された谷口ジロー作品集の出版など、日本に限らずフランス向けの活動が際だっています。現在はフランスで『mon annee』の連載や、イタリアの雑誌で連載をしており、まさに世界を股にかけた活躍をされています。
今回の公演をおおいに参考にし、『父の暦』における風景描写を考察していこうと思います。末筆ながら、今回の講演をお聞かせいただいた西尾さま、たくみ21例会の主催者、木谷さまにお礼申し上げます。(ゆめみし)

↑谷口ジロー氏のデビュー作『嗄れた部屋』 現在と作風が異なる。
谷口ジローは1947年に鳥取市に生まれました。中高時代は、1960年にさいとうたかをの作品や、山川惣冶の『少年ケニヤ』などのような絵物語の影響を受け、当時描いた絵画帳に影響が反映されています。高校卒業後、京都でいったん職に就きますが、1966年に玄太郎の紹介で『原人ビビ』の作者、石川球太氏のアシスタントとなるべく上京します。その後、1971年に「嗄れた部屋」を『週刊ヤングコミック』に発表し、デビューを飾りました。1972年には絵本『ぐしゃままにたら』を描き、1974年には『学習漫画 シートン動物記』全12巻のうち4巻の作画を担当しました。
デビューまもない1972年、スイスのグラフィック誌『GRAPHICS』に掲載されたジャン・ジロー(メビウス)の絵と出合い、衝撃を受けます。以降、ジャン・ジローの影響を強く受けるようになります。1990年に連載された『犬を飼う』において、日常的な光景を描いたことが話題となり、『歩く人』『欅の木』『父の暦』『遥かな町へ』でも同様の手法が用いられました。また1992年に『歩く人』が谷口氏の作品で初めてフランス語出版され、同国で話題となりました。その後、鳥取を舞台とする三部作『父の暦』『遥かな町へ』『魔法の山』がフランスでも話題となったのは周知のとおりです。
現在の谷口ジロー氏は、時計メーカー「カルティエ」の新モデルをモチーフにした漫画、ルイ・ヴィトンが発行したベネチアのガイドブック、ルーブル美術館のBD(バンドデシネ)プロジェクトに参加して描いた漫画(邦題は『千年の翼、百年の夢』)、今年3月に発売された谷口ジロー作品集の出版など、日本に限らずフランス向けの活動が際だっています。現在はフランスで『mon annee』の連載や、イタリアの雑誌で連載をしており、まさに世界を股にかけた活躍をされています。
今回の公演をおおいに参考にし、『父の暦』における風景描写を考察していこうと思います。末筆ながら、今回の講演をお聞かせいただいた西尾さま、たくみ21例会の主催者、木谷さまにお礼申し上げます。(ゆめみし)

↑谷口ジロー氏のデビュー作『嗄れた部屋』 現在と作風が異なる。