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アイム・ノット・ゼア

 フェデラーとナダルの全豪決勝、震えましたね。役者がちがう。勝敗の瀬戸際でメンタルがぶれない。顔に心があらわれない。失敗をひきづらず、常に前をむいて勝利をめざす。戦いのなかで反省やら後悔をしている暇はないのだ。
 いつも夕食後、家族はそれぞれの部屋に散っていくが、この夜だけはリビングをだれも動かなかった。WOWOWが映るテレビは1台しかないからね。息子は軟式テニスとバトミントン、娘はバレーボールの経験者なのでネット競技に詳しい。いろいろ教えてもらいながら、二人の熾烈な戦いに一喜一憂し続けた。
 素人ながら思う。フェデラーのワンハンド・バック・ストロークは羽をひろげる丹頂鶴のように美しい。両手打ちが当たり前の時代に片手をふりあげてボールを返し続ける。あの姿だけでも国宝ものだと魅入ってしまった。

 WOWOWライブの全豪中継が終わると、WOWOWシネマで映画「アイム・ノット・ゼア」(I'm Not There, 2007)が始まった。事前に情報を収集したが、たいした解説はみつからない(まともに批評できる人材がいない?)。たとえばウィキペディアは「歌手ボブ・ディランの半生を6人の俳優達(クリスチャン・ベール、ケイト・ブランシェット、マーカス・カール・フランクリン、リチャード・ギア、ヒース・レジャー、ベン・ウィショー)が演じる伝記映画。第64回ヴェネツィア国際映画祭にて審査員特別賞と女優賞を受賞」という3行解説があるだけで、あとは以下の受賞歴を列挙するのみ。

  第64回ヴェネツィア国際映画祭:審査員特別賞
  第64回ヴェネツィア国際映画祭:女優賞(ケイト・ブランシェット)
  第65回ゴールデングローブ賞:助演女優賞(ケイト・ブランシェット)
  全米映画批評家協会賞:助演女優賞(ケイト・ブランシェット)
  シカゴ映画批評家協会賞:助演女優賞(ケイト・ブランシェット)
  トロント映画批評家賞:助演女優賞(ケイト・ブランシェット)
  ラスベガス映画批評家協会賞:助演女優賞(ケイト・ブランシェット)
  女性映画批評家協会賞:特別賞
  ニューヨーク・オンライン映画批評家協会賞:助演女優賞(ケイト・ブランシェット)
  サンタバーバラ国際映画祭:モダンマスター賞
  インディワイアー映画批評家協会賞:助演俳優賞
  インディペンデント・スピリット賞:ロバート・アルトマン賞
  セントルイス映画批評家協会賞:オリジナル/革新的/創造的映画賞
  カメリマージュ映画祭:ブロンズフロッグ賞


 いままさに映像が流れているところなんですが、難解きわまりない。グルリンポチェの八変化みたいなもので、ボブ・ディランの6つの側面を6人の異なる俳優が演じている。なかでも、上の受賞歴にみるように、ケイト・ブランシェットの評価が圧倒的に高いのだが、この人は女優です。女優が例のユダ事件のころのディランを演じている。アコギからエレキにもちかえて大音量のロック(あれはロックなのか?)を演奏し、大ブーイングを浴びたシーンやその後の記者会見を女優が再現しているわけです。なかなかおもしろい。ここがいちばんわかりやすい部分ではないでしょうかね。

 ディランを教材にできないものか、と秘かに考えはじめている。ノーベル賞をとってくれたから実現可能の可能性が芽生えてきて、伝記本・楽譜・詩集・音源・映像を少しずつ集めているのだが、残念なことだけれども、この映画は初心者には難しすぎる。学生にみせても分かってもらえないでしょう。どうやったら、ディランを若者に理解してもらえるだろうか。前提として、さほどディランに心酔していなかった私自身がまず理解しなきゃなんないわけですが。


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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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