君の名は。


伊丹から羽田、ドーハと乗り継いでウィーンに辿り着き、クリムトと再会しました(↑)。カタール航空28時間の空の旅です。カタール航空に乗ったなら、もう映画をみるしかない。4本みましたよ。最初が『君の名は。』。畏れ入りました。じつによく出来ている。興業成績は歴代日本2位を記録したそうですが、私個人の感想を述べるならば、1位の「千と千尋・・・」よりも面白かったな。男女の入れ替わりがなくなる中盤以降、画面に釘付けになるので、伏線がいっぱい潜んでいる前半をみなおすため、ただちに2回めを視聴したくなる。リピーターが多いわけだ。
宗教民俗と宇宙科学の裏返しの複合性については、しばしば指摘されるところで、これからもこういう主題の芸術表現が増えていくでしょう。とくに巨巌の岩陰に御神体を祀るところなど、ASALABとして放置するわけにはいかない。阿蘇がそうであるように、火山の火口そのものが御神体とみなされますしね。
もうひとつの主題は「夢」です。ほんと夢とは不思議な世界だ。なぜあのようにリアルな世界が毎夜毎夜繰り返されるのか。人間の深層心理を反映するなどというちょろい説明では納得できない。わたしたちは夢のなかでしばしば4次元的世界に迷い込んでいるのではないか、といつも思うのですが、その夢から醒めれば夢の記憶は途端になくなってしまう。
そして「純愛」。空港や飛行機内にタラレバ世代やタラレバ予備軍がうようよいて、その騒ぎっぷりにげんなりしていたところに、あの純愛ストーリーだからね。ころりとまいります。「君の名は。」の次にみた土屋太凰の「青空エール」、ケントが隣でみていた広瀬すずの「四月は君の嘘」も青春純愛モノだ。生殖的映像はネットでみあきてしまったのか、それともタラレバに辟易した結果なのか?
というわけで、なんとかウィーンまでやってきて、さきほどから空港のカフェにしけ込んで、ウィンナ珈琲を啜っています。ケントはウィーンの街に出たいみたいだけど、今回の目的地は東欧なので、これから空港リムジンバスに乗り、スロバキアの首都ブラチスラバをめざします。一時間で着くらしい。
ただいま現地時間で、3月2日12時39分です。日本との時差-8時間。

↑我在维也纳的珈琲店