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おきざりにした旅鞄

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 3月17日(木)、大快晴。報告書の修正済み全データを再送信し、学内〆切を過ぎた某申請を急がねばならなかったが、卒業式前日とあらば先んじておこなうべきことがある。午後から因久山へ。前日、正男と選んだ焼物を受け取り、反転して大学へ。
 1階のホワイエに入ると、数名の見知らぬ学生たちがニヤニヤこちらをみて話しかけてきた。

   「あの・・・A SA KA WA センセでは?」
   「はい、そうですけど、なにか?」
   「駐車場にスーツケースがおいてありましたけど・・・」
   「えっ、どんな色? グレーっぽい青??」
   「あっ・・・そんな感じでした。」
   「それ、院生のだ。おれのは赤で、いま奈良にあるの(笑)」


0305ブダペスト東(バロス)駅02web 0305ブダペスト東(バロス)駅06


 男女2名に連れられ、停車したばかりの駐車場に戻って、青灰色のスーツケースをうけとった。結構重い。

   「これ、ほんと、おれのじゃないんだけど、どうして名前が分かったの?」

と問えば、スーツケースに絡まったラゲッジ・シールをみせられた。たしかに ASAKAWA の名を確認できる。そうか、ブダペストで荷物を預ける際、二人分の鞄が私の名義になっていたんだ。


0305ブダペスト東(バロス)駅05転車台01


*このサイトの写真はすべてブダペスト東駅(バロス)です。3月5日撮影。冷戦時、東西ドイツの親戚・知人はこの駅で面会することができた。そんな哀愁が建築に染み込んでいる。



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 スーツケースを転がしながら、愛車めざして歩き始めると、こんどは若い教員とそのゼミ生たちがこちらをみてニヤついている。

  「これ、おれのじゃないから。院生のなんだから・・・」

同じ言い訳を繰り返した。
 3時間後、本人があらわれ、旅鞄を自分の車に遷した。聴けば、わたしが駐車場に到着する半時間前に大学を出て、卒業式のリハーサルをしていたという。目出度し、めでたし。


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↑(左)アールデコの窓  (右)アールデコの椅子


 【追記0318】卒業式で他の教員から「結構長いあいだ駐車場に放置してありましたよ」との証言をえた。どうやら、放置半時間ということはないみたいです。

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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