おきざりにした旅鞄


3月17日(木)、大快晴。報告書の修正済み全データを再送信し、学内〆切を過ぎた某申請を急がねばならなかったが、卒業式前日とあらば先んじておこなうべきことがある。午後から因久山へ。前日、正男と選んだ焼物を受け取り、反転して大学へ。
1階のホワイエに入ると、数名の見知らぬ学生たちがニヤニヤこちらをみて話しかけてきた。
「あの・・・A SA KA WA センセでは?」
「はい、そうですけど、なにか?」
「駐車場にスーツケースがおいてありましたけど・・・」
「えっ、どんな色? グレーっぽい青??」
「あっ・・・そんな感じでした。」
「それ、院生のだ。おれのは赤で、いま奈良にあるの(笑)」


男女2名に連れられ、停車したばかりの駐車場に戻って、青灰色のスーツケースをうけとった。結構重い。
「これ、ほんと、おれのじゃないんだけど、どうして名前が分かったの?」
と問えば、スーツケースに絡まったラゲッジ・シールをみせられた。たしかに ASAKAWA の名を確認できる。そうか、ブダペストで荷物を預ける際、二人分の鞄が私の名義になっていたんだ。

*このサイトの写真はすべてブダペスト東駅(バロス)です。3月5日撮影。冷戦時、東西ドイツの親戚・知人はこの駅で面会することができた。そんな哀愁が建築に染み込んでいる。