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仏陀-水とペチカとパリンカと(1)

0302ブラチスラバ03 図1


 2016年。元旦から364日後の大晦日を意識していた。還暦がめでたいものかどうか、よく知らない。しかし、前年(2015)秋から時空がねじまがり始め、年が明けて2月21日に迎えた第1回仏ほっとけ会(ほとけほっとけぇ)のころから目眩を覚えるほどになっていた。親族にその状況を吐露すると、厄年だからではないかという。そのとき還暦とは厄年であり、59が前厄、60で本厄、61にしてなお後厄というトリプルパンチのど真ん中にいることを知った。新しい年度を控え、夫婦ともども神社で厄払いをしてもらったおかげがあったのか、2015年からの継続にあたる学内特別研究費助成「大雲院の建造物と仏教美術に関する予備的研究(2)」が採択された。この報告書は助成研究成果の一部をなすものである。
 6月に朗報がもたらされた。1月に申請していた「摩尼山」の登録記念物(名勝地関係)の申請に対して文科大臣への答申が決まったのである。史跡指定された大山寺と登録記念物になった摩尼山について県内では大々的に報道がなされ、わたし自身ひさしぶりにNHKのニュースでコメントをさせていただいた。その後、10月には官報告示があり、名勝地「摩尼山」は正式に日本最大の登録記念物(面積約37万㎡)となったのである。


0302ブラチスラバ04城01 0302ブラチスラバ04城02ドナウ川 図2・3


 かくして摩尼山・摩尼寺の活動は一段落を迎えつつあったのだが、大雲院の調査研究はなお試行錯誤の繰り返しであった。研究費でフォトスキャンというソフトを購入し、美術品等の多重撮影をおこない3次元モデルを作成しようとしたのだが、できあがったCGは写真より精度の劣ることを知り、またドローンを購入して上空から建造物や遺跡の撮影をするのだが、境内などを例外として許可がおりにくいことも知った。ドローンに至っては、ブータンまで持ち込んで崖寺の上空撮影を試みようとしたのだが、出国前に確認しておいたにも拘わらず、現地入りしてみると、航空管制局から撮影不可のお達しを頂戴した。春に中国人が王宮や議事堂などを上空から撮影しまくったことで政府が激怒し、以後ドローン撮影はいっさいの許されなくなったのである。

 秋には大きなイベントを控えていた。11月3日(文化の日)、中国観音霊場開創35周年記念合同大法要が摩尼寺で営まれることになり、その記念事業として、善光寺如来堂の阿弥陀如来像がじつに八十数年ぶりにご開帳することが決まった。公開は法要の前後2週間におよび、閉帳前日の11月12日にはフリーアナウンサーの吉川美代子さんを招いて「摩尼山」登録記念物決定記念イベントを如来堂で開催した。後期に入って順調にイベントの準備を進めていたのだが、ご存じのとおり、10月21日に鳥取県中部地震が発生し、県民は動揺した。摩尼山や大学を含む県東部の被害は少なかったものの、中部の被害は大きく、倉吉や湯梨浜などをメイン・フィールドにしてきた研究室にも衝撃が走った。さらに個人的な話題で恐縮ながら、わたしは地震に先立つ10月12日に母を亡くしており、精神的な痛手が治まらないまま11月のイベントを迎えることになった。めでたいはずの還暦が一瞬にして服喪の立場となり、本厄の一年であることを思い知らされたのである。しかしイベント自体は、4回生の武田大二郎君と石田香澄さんが大勢の聴衆の前で見事な民話の朗読を聴かせてくれた。堂々とした朗読であり、二人に救われた気がした。


0302ブラチスラバ02ワイン店01 図4

 *図1 スロバキアの首都ブラチスラバの旧市街地(3月2日)  図2 ブラチスラバ城(3月3日)
  図3 ブラチスラバ城から望む旧市街地とドナウ川  
  図4 旧市街地の洞窟風レストラン(ワインを試飲)


0303フロンセクの木造教会01 0303フロンセクの木造教会(世界遺産)04 図5・6


 12月31日、わたしは60歳になった。

 年末から2月までは卒論・修論作成のピークである。卒業・修了予定者6名のうち、大雲院に係わる研究に取り組んだのは吉田健人・武田大二郎・木村鴻太であり、この3名の研究成果に眞田廣幸氏の「大雲院の仏像」講演、大石忠正の「ブータンの崖寺と冥想洞穴(2)」の研究発表を加えて、2017年2月18日に大雲院本堂で「第2回仏ほっとけ会-摩尼寺・大雲院仏教講座」を開催した。会そのものはとても充実していたのだが、2月10日~14日にかけて鳥取は33年ぶりの豪雪に見舞われ、交通・流通が麻痺状態に陥っていた。60年間この県と係わってきて、これほどの大雪を経験したことがない。大地震に匹敵する災害であったと今も思う。一例をあげるならば、2月8日に投函したチラシ案内の宅配便が常連客のもとに届いたのは2月20日のことであり、すでに仏ほっとけ会は終わっていた。一部の客層からクレームを頂戴する始末であった。それでも会は盛況であった。昨年に比べプロの研究者・行政関係者が多数来場し、有意義なコメントをいくつも頂戴したことを嬉しく思っている。【続】


0303フロンセクの木造教会(世界遺産)02 0303フロンセクの木造教会02内部sam 図7・8

 *図5~8 フロンセクの教会
  (世界文化遺産「カルパティア山脈地域スロバキア側の木造教会群」2008登録)

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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