タケシとリーチ

ノビタ先輩と再会
4月26日(水)。私は今月、就職活動でずっと関西に出ていたので、4年生になって初のゼミ活動になりました。3年生と初めて会ったので顔と名前が分かりませんでした(泣)。早く覚えるようにします。本日は県立博物館へ「バーナード・リーチ展」「アートたけし展」を見に行きました。博物館に至る道中、先生は母校を濠の対岸から眺めつつ鳥取城跡のことなどを説明されましたが、そこで研究室のOBにばったり。なんでも鳥取城で卒論を書いたノビタさんという方だそうです。ノビタがのびた??
バーナード・リーチ展
イギリスの陶芸家、バーナード・リーチは1887年に香港で生まれました。幼少期を日本やシンガポールで過ごし、10歳のときに母国イギリスに戻ります。ロンドンの美術学校でエッチングを学びながらラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の著書を読み、日本に憧れを抱きます。その後、リーチは来日して「白樺」同人の柳宗悦らと出会い生涯の友人となりました。日本の民藝に魅せられたリーチは各地の窯場を訪れて技術指導し、自らも作陶し多くの作品を残しています。彼は生涯で20回来日しました。山陰両県にも度々訪れています。
中央に動物や自然を描いている皿が多く、絵付けはシンプルで抽象的ですが、抽象的な絵付けが何を意味しているかは容易に分かります。先生から、デッサンやスケッチなどの基礎的技術が高いから、こういうことができるんだと教わりました。ピカソは無茶をしているようで、じつは基礎技術が卓越しており、その能力を背景にして前衛的な実験をしているから凄いのであって、リーチの場合も、基礎技術に裏付けられて抽象的な絵付けをしているから、シンプルにみえるけれども誰でも真似できるわけではない、ということです。
図録等によると、リーチの民芸/芸術活動の要点は「東と西の結婚」と言うことで、世界の多様な文化を経験してきた彼ならではの表現がうかがえました。ミュージアムショップで、リーチ展の関連商品としてカップのレプリカ等を売っていましたが、高くてびっくりしました。買ってもきっと使えずに飾ると思います。これでは実用品としての民芸の原点から離れてしまいますね。



アートたけし展
素朴ながら重厚なリーチ展とは打って変わって、展示場はカラフルで明るい雰囲気でした。たけしさんは初め天使をモチーフにした絵から描き始めたそうです。小学生が描いたような絵が彼のお気に入りらしいですよ。誰でも描けるような雰囲気はありますが、固定概念に縛られた凡人には到底真似できないと思います。個人的にはビデオカメラや時計を無理やり壊して分解したものをキャンバスに貼り付けられた作品が好きです。ただ、カフェの席での先生の意見はちょっとちがいました。
リーチとは真反対で、たけしには絵を描くための基礎技術がない。だから、アイデアに
頼らざるを得ない。アイデアの面ではピカソの影響を強くうけている。リーチ展と同期
開催になったことはたけしにとって災難というか、不運だと思う。雲泥の差がある・・・
一連の作品は、作品そのものの出来映えではなく、「たけしが描いた作品」であること
が評価の対象になっている。
そういえば、作品の多くに猫が描かれていました。いちばん上の写真は原寸の猫タクシーで全員で記念撮影したものです。

吉田璋也 写真展
休憩後、先生は常設展のリーチの作品を見にいかれましたが、4年生は町並み関係の卒論を抱える者がいるので、仁風閣へ特別展示「吉田璋也 写真展」を見に行きました。仁風閣は、明治末に皇太子殿下(後の大正天皇)が山陰地方を行啓された際の御斎所として建設されました。最近では、映画「るろうに剣心」のロケ地として有名ですね!
仁風閣2階のひと部屋に民藝運動家の吉田璋也が昭和13年頃撮影した「鳥取の民家」の写真パネルが展示されていました。大雲院のある立川町の写真も含まれていましたが、町並みではなく、町家(民家)単体の写真ばかりで、今も面影を残すのは登録文化財「吉村家住宅」ぐらいでした。鳥取県庁舎や裁判所などは現在とはまったく違う建物でした。この町が昭和18年の大地震や昭和28年の大火を経て現在のようになっていくのですね。
帰り際、堀を渡ったところまでぱでぃさんが一直線。よくある音声ガイドのボタンが並んでいると思いきや、アーティストによる「ふるさと」の歌唱が聴けるのです。ぱでぃさんが選んだのはEXILEのATHUSHI!彼女がこの日いちばんテンションの上がった瞬間でした。 (みひろ)


まつえ皿
4月26日(水)、鳥取県立博物館で開催されている「バーナード・リーチ展」「アートたけし展」に行きました。近頃晴れ続きでしたが、この日はあいにくの雨となりました。
「バーナード・リーチ展」では、リーチがさまざまな国の文化の影響を受けて制作した陶器や絵が展示されていました。ひらがなでおおきく「まつえ」と描かれたものもあり、日本の陶芸ではなかなか見ないので斬新だと思いました。シンプルな線だけで描かれているのに動物の姿だと万人が理解できることに驚きましたが、それはリーチのデッサン力が十分にあるからこそできるということを教わりました。

「アートたけし展」では、入ってすぐに色の鮮やかさに驚きました。壁に絵が飾ってあるだけではなく、360℃つながった絵を楽しめたり、ルンバの上に人形を乗せて動かしていたりと展示の仕方が工夫されていました。大胆な色遣いや横向きと正面の顔を複合させた顔の描き方はピカソなど現代芸術家の影響を強く受けているのだろうとも教わりました。
展示品の関連グッズが販売されており、気に入った焼き物があったのですがお値段がなかなかだったので私には手が出せませんでした…。作品を鑑賞したあと、みんなで感想を言い合って、自分とは違うとらえ方を聞いたり、先生から作者や作品について解説していただいたりと勉強になりました。(小次郎)
