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失敗を怖れるな

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失うものはなにもない

 さて、子どもの日だ。午後になってから田原本で開催されている版画展が最終日であることに気づき、大急ぎで会場をめざす。ところが、カーナビが木瓜てましてね。平城NTから二十数キロしか離れていないのに高速に乗ってしまい・・・近回りしているのか、遠回りなのかさっぱり分からない、おかしな道中になりました。
 西竹田という農村集落にある和風住宅をギャラリーに活用している。常設ではなく、GWなどの限定期間でギャラリー&カフェにしたものなんだろう。最近、こういう活用が流行ってますねぇ。


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 和風住宅は新しくみえるが、中2階形式であり、トオリニワ(土間)の痕跡を残すので、やはり明治中期ころに始まり近頃改修したものであろうか。全体に数寄屋を意識している。続き間の座敷には版画をのせたイーゼルが規則正しく並んでいる。素朴で剽軽な版画に目を奪われた。動物・仏像・風景を主題としつつ、漢語の格言と複合させるパターンが多い。漢文は案外読めた。復元と係わる主題のものもある。唐古・鍵の楼閣をみてどきりとした。懐かしいようで、冷めてもいて、微妙な心境。


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↑見覚えのある?風景


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 中2階の板間は1階の続き間よりもギャラリーらしい。凝りに凝っている。急勾配の階段をあがったところにある洗面台もグッド。版画はいろいろあって、どれも素晴らしいのだけれども、今回この展示会に足を運んだのは葉書でみたマイルスの版画が気になったからだ。マイルスの版画は何種類かあり、それらの習作が2階の机の上にやや雑然と重ねおきしてあった。ひょっとして売ってもらえるんじゃないか?
 1階のカフェに戻ってミルクティを注文した。音楽はマイルスではなく、ゲッツ&ジルベルト。こういうとなんですが、最近は猫も杓子もジャズ&ボッサで、マンネリ感が否めない。ジャズを聴くなら、ベイシーのようなちゃんとしたジャズ喫茶で聴きたいね。こんど松江に週末復活したウェザーリポートを訪ねる予定。巷に溢れるジャズ&ボッサにくらべると、そば切り「たかや」のクラシック・ギターはとても新鮮に聞こえる。


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 アストラッド・ジルベルトの清聴な歌声を聴きながら、マイルスの版画を買えませんか、と訊ねたところ、画家さんがあらわれた。「額付で4~5万円」とのことで、「そりゃ手がでません」と答えるしかなかった。せめて売値の半額ならば、とも思ったが、値切るのもみっともないので、潔く諦めることにした。
 その後まもなく、厨房のマダムが蒸れきったミルクティをもってこられたので、「褒めたら安くしてもらえるかな」と切り出し、「アートたけし展よりも良かったですよ」と感想を述べた。これは本音です。ただし、リーチのレベルはまったく別次元だったとも付け加えたが。
 美味しい紅茶を飲み干して、マイルス版画を買いたい衝動を抑えながら会場をあとにした。


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 少々、蘊蓄を・・・田原本のある旧奈良県磯城郡は奈良盆地中東部の初瀬川の流域で、三輪山と香具山を結ぶデルタ地帯にあたり、初期大和政権の所在地で、唐古・鍵遺跡や纒向遺跡を含む。磯城(しき)と は石城をさす。『日本書紀』によると、磯城瑞籬宮(しきみずがきのみや)、纏向珠城宮(まきむくたまきのみや)、纏向日代宮(まきむくひしろのみや)、磯城嶋金刺宮(しきしまのかなさしのみや)などが営まれた。ちなみに、天照大神は大和の宮中に祭られていたが、第10代崇神天皇のとき、天神を宮中に祭るのは恐れ多いとされ、大和笠縫邑(かさぬいのむら)に移し、「磯城の神籬」(古語拾遺)に祭った。その後、兎田・近江・美濃をへて伊勢にたどりつき、五十鈴川のほとりに定着し、伊勢神宮が造営されたと伝える。ここにいう笠縫も磯城のどこかにあったのであろう。
 下って中世にはこの地に環濠集落が営まれた、稗田がその代表である。版画展示会場の駐車場から車を出して、帰りは高速に乗るまいとうろうろしていたところ、「保津西」という地名を発見した。保津という地名はやはり懐かしい。修士課程に進学して最初のころ、研究室全体でこの地の環濠集落の調査研究に取り組み、わたしは保津を担当した。指導教員には散々叱られて、以来、近寄り難くなった。今は逆の立場ということを肝に銘じましょう。

【参考文献】
 環境文化研究所(1980)「下ツ道と環濠集落-歴史・現状・保存修景計画-」『環境文化』45号:pp.73-149





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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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