男はつらいよ-寅さんの風景(5)

寅次郎夕焼け小焼け
5月18日(木)。第17作「寅次郎夕焼け小焼け」(1976)を1年生にみてもらました。最初の2作品は寅さんがマドンナ(若尾文子・岸惠子)に恋して振られる初期の定型バージョン、3番目の作品はマンドナ(竹下景子)に恋心を寄せられる中期の逆定型バージョンだが、本作は惚れた腫れたを超越した複雑なストーリーが展開する。龍野芸者演じる太地喜和子の存在感が凄まじく、日本画家役の宇野重吉の枯れた演技もどっしり効いている。この作品を寅さんシリーズ48作中の最高傑作と評するレビューも少なくない。「男はつらいよ」が比較的単純なドタバタ人情劇から大きく飛躍した記念碑的作品であり、学生のレポートを読んでも感嘆の声しきりであった。
<ストーリー> 満男の新入学祝いに帰ってきた寅さんは、飲み屋で一文無しの老人の飲み代を立て替え、とらやへ連れて帰った。とらやを宿屋と勘違いした老人は贅沢三昧を反省し、絵を描いて寅さんに渡す。その絵が七万円で売れて仰天、この老人は日本画壇の重鎮、池之内青観であることを知るが、すでに青観は姿を眩ませていた。播州龍野で青観と再会した寅さんは、歓迎会の宴席で芸者ぼたんを見染める。その後、ぼたんが柴又を訪ねたが、ぼたんは二百万円の詐欺にあっており、タコ社長とともに取り立てに出向くも、相手は手強い。見兼ねた寅さんは青観を訪ね、ぼたんのために絵を描いてくれと頼む。
↑寅さん、わたしと所帯もつ言うたやろ!?