男はつらいよ-寅さんの風景(7)

寅次郎の告白
最初にみた第6作「男はつらいよ純情篇」(若尾文子 1971)と第12作「私の寅さん」(岸惠子 1973)は寅さんが手の届かぬマドンナに恋してあえなく振られる初期の定型バージョン、3回目にみた第32作「口笛を吹く寅次郎」(竹下景子 1983)は寅さんがマドンナと相思相愛なのに自ら身をひいていく逆定型バージョン、4・5回の第17作「寅次郎夕焼け小焼け」(太地喜和子 1976)と第26作「寅次郎かもめ歌」(伊藤蘭 1980)は前期後半~中期の傑作、という流れで作品を紹介してきた。視聴の最終回はそうした流れからやや逸脱して晩期の第44作「寅次郎の告白」(後藤久美子・吉田日出子 1991)を選んだ。鳥取を舞台とした作品だからである。
第41作「寅次郎 心の旅路」(竹下景子[3回目] 1989)を最後にお盆公開がなくなる。第42作「ぼくの伯父さん」(後藤久美子・檀ふみ1989)以降は年に1回の年末公開のみとなり、事実上の主役はおいの満男(吉岡秀隆)が務め、寅さんは準主役級の立場で満男を見守る役割を果たす。時代の流れもあったのだろう。「男はつらいよ」は90年代を迎える前から、すでに「古くさい映画」という烙印を若者から押されつつあり、その処方箋として、吉岡・後藤のロマンスを取り入れざるをえなかったのであろう。そしてまた、寅さん演じる渥美清の体調に大きな変化があったことも変化の重要な要因であった。
鳥取を舞台とする第44作が上映された1991年は渥美清に肝臓癌が発見された年でもある。画面の寅さんから生気は薄れている。あの喧嘩っぱやい寅さん全盛期の姿はない。年とったタコ社長と癌をわずらう寅さんの喧嘩に往年の迫力はなくなっているのだ。寅さんがかなり寡黙で分別のある人柄になっているところは、仕方ないとはいえ、残念でならない。代わって満男が無鉄砲な「第2の寅さん」を演じるわけだが、渥美清との実力差は歴然としており、本来の客層が物足らなく感じる所以であろう。「寅次郎の告白」は鳥取を舞台としているから本学の教材とする価値がおおいにあり、今後のプロジェクト研究の鍵をにぎるわけだが、作品の質を上記5作品とくらべると突出した位置づけにはならないように思われる。教室のスクリーンで再会した第44作を視聴した結果、そう思わざるをえなかった。
<ストーリー> 満男の恋人・泉は母の愛人の存在を許せず悩んでおり、思いつめて家出する。鳥取砂丘の絵葉書が満男のもとに届いた。ただならぬ内容に満男は家を飛び出し鳥取に向かう。一方、山陰を旅していた寅さんは当てもなくさまよう泉と倉吉で偶然出合う。すがりついて泣く泉。寅さんと同じ宿に泊まり、悩みを打ち明ける。翌日、砂丘で若い二人は再会した。その夜、寅さんは鮎の里、河原の料亭で昔馴染みの女と再会。深夜、女将に迫られている寅さんを2階から満男が覗き込み・・・
■ロケ地 鳥取県倉吉市・砂丘・八頭郡河原町、岐阜県蛭川村
6月1日(木)は第44作を4年生にも視てもらいました。今後4年生のサポートは不可欠であり、この日もみひろさんにスニッピング・ツールの使い方をスピーチしてもらいました。来週からのフィールドワークが1・2年生だけでなく、4年の卒論にも良い成果をもたらすことを祈っています。
<感想>
7065 「次いつ会える?」(と問う泉)に対して「会いたいと思ったときよ」といえる暇人は寅さんしかいないと思うので、寅さんしか言えないかっこいいセリフに思えた。
7085 若桜鉄道安部駅は、前に一度見かけたときとあまり変わっていないように感じたが、実際のところはどうなのか、訪問が楽しみである。
7145 鳥取の見知った場所が多く出ていたのを見つけて楽しかった。
7134 寅さんは主人公として大人の恋愛――もといほどほどの恋愛を繰り広げていました。寅さんが旅に出た先が偶然泉の家出先と同じであったり駄菓子屋の老婆が気兼ねなく家に泊めてくれたりと、優しさと偶然とはこんなにも生きる上で助けになるものなのだと感じた。そして、個人的に「男はつらいよ」はお涙頂戴ものの映画ではないと(数少ない今までに見た映画で)判断したが、今回の泉が母の幸せを許可するシーンはかなり涙腺に響きました。
8070 私はこういう寅さんが少し静かで分別のついているような雰囲気のお話も好きだと感じた。最後、満男が寅さんを理解したところはとても感動した。恋の心情や、人々の優しさ、自分では不幸だと思っていてもどこかで誰かに心配され、優しくしてもらっているのだということを気づかせられる物語だった。
8072 風景は、鳥取の家が並ぶ街並みがいいなと思った。そこは、倉吉の打吹玉川の白壁土蔵群である。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。とても歴史が感じられそうな雰囲気なのでぜひ訪れてみたいと思った。それほどの美しい街並みであった。
8092 鳥取の土手の風景は柴又の土手の風景に似ていた。泉は鳥取に行ったことで心境に変化があったので、鳥取の風景や人が泉を変えてくれたのだと思った。風景は人の心に変化をもたらすことができるのだと分かった。
8113 泉が母親に「幸せになっていいよ」と言ったところが感動しました。
8123 前回見た「夕焼け小焼け」はタイトルと内容の関係がよく分かったのですが、今回は何が“告白”なのかを見つけることができなかったのが残念でした。
7065 「次いつ会える?」(と問う泉)に対して「会いたいと思ったときよ」といえる暇人は寅さんしかいないと思うので、寅さんしか言えないかっこいいセリフに思えた。
7085 若桜鉄道安部駅は、前に一度見かけたときとあまり変わっていないように感じたが、実際のところはどうなのか、訪問が楽しみである。
7145 鳥取の見知った場所が多く出ていたのを見つけて楽しかった。
7134 寅さんは主人公として大人の恋愛――もといほどほどの恋愛を繰り広げていました。寅さんが旅に出た先が偶然泉の家出先と同じであったり駄菓子屋の老婆が気兼ねなく家に泊めてくれたりと、優しさと偶然とはこんなにも生きる上で助けになるものなのだと感じた。そして、個人的に「男はつらいよ」はお涙頂戴ものの映画ではないと(数少ない今までに見た映画で)判断したが、今回の泉が母の幸せを許可するシーンはかなり涙腺に響きました。
8070 私はこういう寅さんが少し静かで分別のついているような雰囲気のお話も好きだと感じた。最後、満男が寅さんを理解したところはとても感動した。恋の心情や、人々の優しさ、自分では不幸だと思っていてもどこかで誰かに心配され、優しくしてもらっているのだということを気づかせられる物語だった。
8072 風景は、鳥取の家が並ぶ街並みがいいなと思った。そこは、倉吉の打吹玉川の白壁土蔵群である。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。とても歴史が感じられそうな雰囲気なのでぜひ訪れてみたいと思った。それほどの美しい街並みであった。
8092 鳥取の土手の風景は柴又の土手の風景に似ていた。泉は鳥取に行ったことで心境に変化があったので、鳥取の風景や人が泉を変えてくれたのだと思った。風景は人の心に変化をもたらすことができるのだと分かった。
8113 泉が母親に「幸せになっていいよ」と言ったところが感動しました。
8123 前回見た「夕焼け小焼け」はタイトルと内容の関係がよく分かったのですが、今回は何が“告白”なのかを見つけることができなかったのが残念でした。