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男はつらいよ-寅さんの風景(15)

虹をつかむ男-南国奮闘篇


虹をつかむ男-南国奮斗篇

 『虹をつかむ男』(1996)のラストシーンに涙し、結構な手続きを経てレンタル叶った第2話「南国奮斗篇」だが、消化不良の感が否めなかった。
 ついにオデオン座を休館にしたカッチャン(西田敏行)は、奄美大島での巡回上映をスタートさせる。奄美は、寅さんシリーズの最終作にあたる『寅次郎紅の花』(1995)の舞台で、満男が泉ちゃんに告白する場面で使われており、山田監督お気に入りの場所なのであろう。余談ながら、「紅の花」は「べにのはな」ではなく、「くれないのはな」と読むことを今知った。思い出されるのはジブリの「紅(くれない)の豚」(1992)だが、驚いたことに、ジブリのほうが寅さん最終作より古いんだな・・・さらに余談になるが、ちあきなおみ最後のシングル「紅い花(あかいはな)」は1991年のリリースである。

 全体の流れは寅さん晩期のWマドンナ体制に近い。亮(吉岡秀隆)は出戻り女の節子(小泉今日子)、カッチャンは元彼女もどきの松江(松坂慶子)に恋をする。この映画の最大の見所は小泉今日子の艶やかさであろう。個人的にはあまり好きな女優さんではなかったのだが、この作品に限っていうと、素直に魅力的だと思った。小泉が出ているシーンとそうでないシーンでは、あきらかに吸引力に差がでている。あとは、巡回映画館のバイト役を演じる吉本芸人の小籔千豊も軽妙で良い味を出している。当時は20代半ばで、その前後も山田監督の作品に結構出演しているようだ。
 ストーリーはごく平凡なものだが、「映画を主題とする映画」である点はやはり注目すべきだと思う。しかし、今回は前回ほど映画に対する思い入れが語られないし、上映本数も多くはない。徳之島町中央公民館で上映される「寅次郎ハイビスカスの花」には正直期待したが、映写機の不調から西田&小泉のエンタテイメント・ショーに変わり、最後は島人総勢の盆踊り大会になってしまった。それは奄美の風土性を表現する映像であり、高く評価する向きもあるだろうが、寅フェチには物足りない展開であった。
 山田監督が脱寅さんをめざして一歩踏み出そうとした気持ちはなんとなくわかる。しかし、結果として、(おそらく)興業は不振であり、而して二話で終幕を迎えたのであろう。アマゾンでは4000円以上、レンタル店には在庫なし、という現状もやむをえぬところか(アマゾンのレビューが評価高すぎる?)。
 しかし、「映画を主題とする映画」の復活にはやはり期待したい。





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 8月5日(土)~6日(日)のオープンキャンパス、無事終了しました。例年通りヒマでして、DVD鑑賞~ブログ執筆ができました。採点が進まなかったのが少々残念であります・・・ヒマなら徹底的にヒマがよいわけです。でも、ぽつりぽつりとお客様はいらっしゃる。高校生じゃないのも来る・・・DVD鑑賞はとぎれとぎれになりました。

 上は4日の準備風景です。4年女子ががんばってくれました。4409はいちばん奥の部屋で目に付きにくい。なんとか客寄せしたいということで、ホワイエにホカノ君の修論パネルを置きました。シンプルだが、爽やかなパネルです。
 さて、採点、採点。


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↑研究室にあらわれた謎の小瓶類

↓城のある風景-8月3日の調査補遺-
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02城03縦02sam肩車

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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