そば米


バレリーナの主食
8月15日(火)の終戦記念日、甲子園の4試合が中止・順延になり、NHKは代わりの番組を放送し続けた。大半は再放送である。第1試合の代わりは、6月27日(火)あさいちの「そばの実」特集。
まず、ロシア屈指のバレリーナ集団が登場する。取材班は一人のマドンナの自宅を訪問し、彼女の食生活を覗きみると、お皿いっぱいのそば米(蕎麦実を茹でたもの)に少々トッピングした主食で、料理法はシンプルだが、バレリーナは「とても美味しい」と言い、さらに笑みを浮かべながら「なにより太らないから」と言葉を続けた。

マドンナのコメントをうけて、スタジオで蕎麦の効用が語られる。ルチンやポリフェノールを多く含むことは誰でも知っていようが、日本蕎麦と決定的にちがうところは、そば米ではそば殻をそのまま食べていることだ。そば殻には胆汁が消化する油分を体外に排出させる効能があるという。30代前半に胆石のため胆嚢を失ったわたしにとって、これ以上の朗報はない。
続いて、和食、イタリア、中華の3シェフが登場し、そば米の料理を競い合った。そのレシピは こちら に掲載されている。ここに料理名を転載させていただきます。
和食: ぷりぷりそばとろ
伊食: そばの実のトマトファルシ
中華: そばの実おこげの夏野菜あん


↑水晒し直後

↑ 納豆そば米と肉吸(肉うどんうどんぬき)。肉吸も簡単につくれる。出汁醤油ベースに牛肉のこま切れをいれ、さらに白ネギを加えて煮る。具材は絹ごし豆腐だけでもいいし、糸蒟蒻を加えるのもあり。椀盛りのさいにとろろ昆布をトッピングすると、鰹出汁と昆布の香りがミックスして絶妙の味に仕上がる。肉吸はほぼ常備の状態です。


山芋・納豆との相性
イタリア料理も中華も、ものすごく美味しそうな料理にしあがったが、正直なところ、男が手料理するにはやっかいに過ぎる。家庭料理の極意はシンプルで、素速く調理でき、そこそこ美味しいことである。和食の「ぷりぷりそばとろ」はなにより簡単につくれる。そばの実を13分前後湯がき、冷水でしめて笊で水気を切る。これだけで十分美味しい。茹でた実をそのまま使うとぬめりがあるが、冷水にさらせば、たしかに「ぷりぷり」になる。ざる蕎麦と同じだ。
このぷりぷりはパサパサと紙一重なので、山芋のとろろが粘着剤の役割を果たす。麦とろご飯を思いおこしていただければいい。山芋をすり下ろすのが面倒臭いなら、納豆がいい。納豆+そば飯は最高の相性だと思う。こうしたぷりぷり蕎麦米とネバネバ食品のミックスを仕上げた板前さんは、この一月そば米料理の試作のため、毎日蕎麦実を食べてきたそうだが、なんと「4キロ痩せた」という発言があり、目が点になった。減量を目的とするバレリーナの主食として最適である証拠が得られたようなものだ。
その後まもなく、わたしはネット通販で、蕎麦実・蕎麦茶・蕎麦実シリアル(オートミール)を取り寄せた。まだ3日めだが、もともと蕎麦好きなだけに、爽やかな主食としてすっかり体に馴染んでいる。結果、追加購入して、帰省した娘にも分け与えた。悩みは値段が高いこと。とくに国産蕎麦実は高すぎる。市場にはロシア産が出回っていて、いまこれしか食べていませんが、何の問題もありません。美味しくいただいています。
冷蔵庫で冷やしたプリプリ蕎麦米はそのままでのどごしが良く、食欲不振の夏に最高。ゆで汁は蕎麦湯と蕎麦茶の中間のような味わいです。これも捨てずに飲み干してしまいましょう。蕎麦殻のエキス満載です・・・と書きながら、蕎麦実のゆで汁は小豆に近いようにも思えてきた。「小豆の源流は赤米」を持論とする小生としては、蕎麦米(縄文)→赤米(弥生)という食生活の変化をなんとなく想像するようになっている。

↑左:蕎麦実 右:蕎麦シリアル(オートミール) いずれもロシア産