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極道

そしてまた、玄人のひとりごと

 道を極める者を極道という。かつて寺町に下宿していた際、木造住宅の対面に「道」という喫茶店があり、好物の焼きそば定食をくらっては麻雀ゲームに現を抜かしていた。その店には常連の雀客がいた。あきらかに70歳をすぎているのだが、眼孔鋭いゲーム雀鬼ジャンキーであり、毎日七千円ばかり散財すると豪語していた。老雀鬼の呟きを聞きながら、わたしもまた雀道に励んものである。結果、昭和のポンコツコンピュータ相手に勝利するマニュアルまで書きあげてしまった。

 もちろん、インベーダゲームもどきの麻雀レベルで満足するわけはなく、その後、2009年のGWにネットで「極(きわめ)」なるソフトの中古を購入した。記録を辿ると、値段は200円+送料であり、こんなにお得な買い物もなかなかないであろう。なぜならば、またたくまに極の虜になってしまうからだ。小島武夫、古川凱章などのプロ雀士16名と対戦できる骨太のソフトであり、24時間やり続けても飽きないが、家族の目は日に日に冷ややかになり、まもなく非難の言葉を浴びせられるようになった。そのまま続けると、いま話題のヨガ離婚もどきになりかねないので、ソフトをタクヲや社長に預け隠してもらい、盆と正月だけレンタルするようにして難局を乗り切った。
 タクヲも社長もいまはなく、極は行方しれずになっていた。ところが、この6月のスタジオ大掃除の際にそれがみつかった。隠していたのはヘイケだったのだ。数年ぶりにみる極のケースに涙と涎が溢れる。以後、何度か中毒症状がぶり返し、再び非難の嵐に巻き込まれたので、今度はソフトを患者に預けた。

 時は過ぎて、お盆がやってきた。わたしは何度も「お盆なんだから麻雀やらせて~」と嘆願するのだが、一同まったく相手にしてくれない。探しても出てこない。途方にくれながら、ある夕刻、コープで買物しようと古いリュックを引っ張り出すと、その中にソフトを発見した。ざっまぁみろ・・・散歩中、背負っているリュックにソフトが入っていることを患者は知らない、ぐふふ・・・その深夜から、わたしの雀道、すなわち極道が復活した。
 いや、ほんとうに麻雀はおもしろい。相手が強いので、なかなか勝てないが、それでもやめられません。上がれなくとも、よい打ち方ができていれば幸福を感じる。たとえばだれかがリーチする。下りながら打ち回し1000点でロンしたときなど最高の気分だ。
 それにしても、なぜ麻雀にはかくも強烈な中毒性があるのだろうか。それは負けるからだろうと思うのである。半荘やって勝てないと、次こそは勝てると思って、もう半荘挑みたくなる。しかし、結果はまた負け。仮に勝てたとしてもトータルでまだ沈んでいる。勝つまでやろうと思うが、たまにしか勝てないので、トップの背中は遠い。次の半荘こそはと期するのだ。


 麻雀の基本は確率にある。言いかえるならば、数学的な論理が前提になっている。しかし、数学的な才能だけで勝てるほど世間は甘くない。麻雀は人生なのだから。ここが囲碁や将棋と大きく異なるところだ。たとえば、

   12□□□○○45◎◎◎68

という並びでイーシャンテン(一向聴)を迎えたとする。テンパイ(聴牌)の一歩手前である。常識的には、12のペンチャン(辺張)、そうでなければ68のカンチャン(間張)を落として、45のリャンメン(両面)を残す。ところが、ゲームではしばしば落としたペンチャンの3やカンチャンの7が入ってくる。ペンチャンを例にとると、フリテン(振聴)を嫌って積もったばかりの3を切ると、あろうことか2を引き戻す。えぇい、このヤロ~と腹立ち紛れに2を切るとまた3を積もる。対人麻雀以上にゲームではこういうケースが多い。
 つまり、確率の低いペンチャンやカンチャンを切り落として牌を引き戻した場合、たとえフリテンになろうともその牌を残しておくほうが、少なくともゲームの場合、良い結果になる確率が高いと経験的に思うのである。いちど切り捨てた何かが手元に戻ってきた場合、その札を大事にすべきだという人生の教訓だ・・・とまで書く必要はないけれど。

 その後、極はバグをおこした。音声が鳴らなくなり、さらにしばしば画面が真っ暗になったりして、まもなく寿命を全うするであろう。アマゾンで検索してみたところ、極の継続バージョンはもちろん手に入る。中古で300円の品も出ている。が、もう卒業しよう。
 これからは3D麻雀の時代だ。



↑そんな、バナナ・・・

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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