稲常の町並み(5)

移動図書館を横目にみながら
11月1日(水) 晴れ。今回は町並みで卒論に取り組んでいる4年生二人に連れられ、3年生二人が稲常の民家をスケッチしました。澄んだ空で陽がぽかぽかと暖かく、絶好のスケッチ日和でした。3年生が稲常に来るのは2度目です。1度目は、稲常を東西南北のエリアで分け、民家に番付しながら写真撮影をしていきました。私は西区のW-01-2建物、あやかめさんはW-06-2建物のスケッチを担当しました。わたしの場合、担当の2年生が2回欠席したため、その補完的役割を果たすことになったようです(そうしなければ「町並み」は完成しません)。あやかめさんは、2年生が描いた西区西端の隣にたつ建物です。
W-01建物はとても大きいので、スケッチの範囲をW-01-1とW-01-2の二つに分けています。スケッチしていると、家の方が話しかけてきてくださいました(寅さん講演を聴きに行かれたそうです)。この建物は築120年ほどで、屋根の小屋組にはケヤキ材を使用しているそうです。稲常にはゼミや実習・演習で何度も環境大学生が訪れているため、気さくに話しかけてくださり、椅子も貸していただきました。いつもありがとうございます!

W-01-2


私とあやかめさんは今回初めての民家スケッチでした。メジャーなどは使わず、歩測など身体感覚でスケールを測っていきます。まず、一歩1mの感覚を覚え、大またで歩きながら寸法を略測します。一歩1mを方眼紙の1cmにして絵を描くと、図面は約1/100になるのです。しかし、少し遅れて指導に来られた先生によると、女子の場合、1歩1mは無謀だそうです。たとえば、1歩85cmの学生の場合、野帳を85%縮小コピーすれば1/100スケールになるので、無理に大股で測らないほうがよいとの指導を受けました。
歩測によって全形のアウトラインを描き、その後細部に移ります。屋根の装飾や瓦の模様など特徴的なところは方眼紙の空白部に引き出して大きな絵にするのです。ところで、建物を見たまま描こうとするとあおった状態になってしまいます。遠近法で高い位置にあるものは小さくみえるのです。長方形の建物なら台形にみえるということです。今回必要なのは正面図ですから、建物を真正面から見た立面図にしなければなりません。遠近法を使ってはならないので、それが難しかったです。たとえば、屋根を描くとき、はじめは遠近法でみえるとおり斜めに描いてしまっていたのですが、地面に対して垂直に描くのが正しいということなどが分かりました。
この日は良い天気で、昼間はとても暖かかったのですが、16時を過ぎたころになると「つるべ落とし」で急に寒くなりました。日もくれてしまい、私は時間内に細部まで書き込むことができなかったので、家に持ち帰って清書します。
稲常の村にたまたま移動図書館の車が来ていました。スケッチの途中で子供たちが元気に遊んでいる姿を見ました。移動図書館のおかげで子供たちは気軽にいろんな本に触れることができ、遊びも勉強もすることができているのだと思いました。(小次郎)

W-06-2

