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登録記念物-摩尼山の歴史性と景観の回復(5)

171108 巨巌 1108摩尼山4


わたしのシーギリヤ・ロック                            

 11月8日(水)。鷲ヶ峰の立岩(たていわ)・賽河原(さいのかわら)の補足測量をするため、3年2名・4年3名と先生で摩尼山に登りました。行きの天気は晴れていて、気温も暖か く、まさに登山日和といった感じでした。(帰りにあんなことになるとは…) 測量機材をみんなで分担して持ちながらの登山でかなり疲れましたが、運動不足の私(あやかめ)に は久々の良い運動になった気がします。この日は門前から「奥の院」を経由して立岩に向かいました。最初は順調に歩いていましたが、「奥の院」の手前あたりから険しい道になっていきました。「奥の院」経由の道はみな初めて登る道だったのですが、こんなに険しいとは思って いませんでした。
  門前から歩き始めて10分ほどすると、「慈覚大師の開山」伝承を記す案内板を発見。鳥取東照宮からの自然歩道とつながる三叉路の辻です。慈覚大師(円仁)の開山は伝承にすぎず、史実ではないと先生に教えられました。その後まもなく、路面に平たい形状をした石が数多く集中する場所を確認できました。これらの平石は礎石であった可能性が高く、因幡民談記(1688)に描かれた「山門」の可能性があるそうです。
 途中、十ヶ所以上で写真のような手書きのサインボードを見つけました。国交省や県が制作した正式な道標に書かれている距 離データが実際と異なりすぎる、ということで、卒業された先輩たちが巻尺を使って正確に測った距離が示してあります。とてもきれいな字で書いてあって、わかりやすい看板でした。


171108 摩尼山登山
↑慈覚大師の案内板  ↓(左)山門跡? (右)研究室制作の道標
171108 摩尼山 道中 礎石 1108摩尼山3


 急峻で曲がりくねる山道を登りきると「奥の院」の遺跡があり、目の前に巨巌が現れまし た。とても迫力があり、思わず見入ってしまいました。先生は以前ここで発掘調 査をした際、こういう場所で食べるお弁当がおいしかったと言っていたので、そ れに倣ってみんなでお菓子を食べながらしばし休憩をとりました。
 そのとき先生が、ここは「私のシーギリヤ・ロック」だと仰いました。シー ギリヤ・ロックについて何も知らなかったので、後でインターネットで調べてみると、 スリランカにある世界遺産の遺跡で、世界七大文化遺産にも選ばれています。195mの岩山の頂上には、シンハラ王朝の5世紀、父を殺害し王位を奪ったカッサパ1世が築いた王宮の跡が残っています。これまでLABLOGでもなんどか記事が掲載されています。

   ・シーギリヤロック -スリランカ仏教紀行Ⅲ
   ・続 スリランカの獅子
   ・続々 スリランカの獅子
   ・そしてまた、スリランカの獅子

 「奥の院」の巨巌を眺めてみると、特徴的な凹凸の激しい形状で、所々の不自然な窪みは自然のものではなく、人工の堀削によるものだそうです。巨巌は岩窟・岩陰を形成しており、内部には千手観音・阿弥陀如来・地蔵菩薩など多数の石仏を祀っています。巨巌を登りきると、小さな岩窟が掘削されており、中には五輪塔がひっそりとたたずんでいました。五輪塔 は無縁仏を供養するための小さな塔で、五輪塔のかけらを蹴っとばしたり する と、運気が落ちるといわれて、以後、気をつけました。【続】


171108 摩尼山 五輪塔
↑岩窟仏堂内の五輪塔


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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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