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民家のみかた 調べかた(1)

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古民家カフェで古典を輪読

 2年次の「居住環境実習・演習(1)」を衣替えした「人間環境実習・演習A」も後半に入りました。稲常の連続立面図はみごとなものになりましたが、版が大きくなりすぎて、ここに掲載できるような画像データをまだ作成していません。ひとつの障害となっているのは2年のスケッチに3年のスケッチを絡ませる点でして、若干の時間を要します。
 後半は教員ごとの課題に対応させるやり方にしましたが、これは方法として間違いであったと今は反省しています。まず第一にプロジェクト研究1~4との差別化が難しい。第2に、3年次からのゼミ選択期と重なってしまったからです。わたし個人は、実習・演習はスキルを学ぶ場だと思っています。複数の教員からそれぞれのスキルを少しずつ吸収する。そういう場に変えていきたいと思っています。


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 さんざん悩んだんですが、後半の担当で、民家調査法を概説する古典的名著『民家のみかた 調べかた』(第一法規・1966)をテキストとして輪読しつつ、民家平面図の実測に取り組もうと決めました。『民家のみかた 調べかた』は古本でも入手が難しく、1冊1万円を超えている時期もありました。それが、最近ダンピングされてきて、わたしは1,500円台の古本を2冊購入できた・・・と書いてアマゾンを検索したところ、あなおそろしや、古本は\25,000と\15,000の2冊だけになっています。ひょっとして、わたしが学内で宣伝しすぎて、みんな安い古本を買いあさったのではないか?

 民家の調査法を教えたいと思ったのは、3年次から卒業論文にむけて民家・町家・空家などを調査研究する学生が増えていくのですが、発表を聞くかぎり、なかなか低調なレベルでして、いつも冷ややかなコメントをしてきたわけです。しかし、その背景を考えてみると、本学の学生は民家の調査方法について、基礎を学ぶ機会がまったくない。そういう講義も演習も存在しなかった。一回基礎を教えてみようと思うに至ったゆえんです。


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写真はすべて福田家住宅


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古民家バスツアーへむけて

 で、結果ですが、学生からの人気は高くありませんでした。「民家」という主題はまだ良かったのかもしれない。しかし、「輪読」はまずかったようです。読書が好きな学生は少ないのね。それでも男2名+女2名が集まってくれました。4チームのうち最少人数です。11月14日(火)はオリエンテーションで、学生自ら資料をコピー・製本し、名簿を作成しました。その後、「古民家カフェで輪読しながら平面のスケッチをする」と発言すると、なかなか大きなリアクションあり。そして、11月28日(火)に古民家バスツアーを企画しているというと、さらに大きな反応がありました。われらが尾崎家住宅(湯梨浜)と河本家(琴浦)をまわるバスツアーを組織して、他の教員には「興味ないでしょうが、お知らせだけしておきます」と連絡したところ、次々に参加依頼が届き、とうとう2年次履修生全員、教員4名に若干の上級生、という大所帯になってしまいました。このツアーの詳細は文末に掲載しておきます。つまり学生たちは民家に興味がないわけではないようです。修学旅行の気分なんでしょうかね。

 さて、オリエンテーションの最後は、大学近隣の重要文化財民家「福田家住宅」(17世紀・鳥取市紙子谷)を訪ねました。残念ながら、内部には入れませんでしたが、外側から「大壁」や「チョウナはつり」と年代観の関係について話しておきました。来週は、お馴染み郡家のカフェ黒田で『民家のみかた調べかた』の第2章以降を読みながら(第1章はホームワークで読んでくる)、建具や畳の表記法を教える予定です。ぼちぼちいきましょう。


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↑(左)大壁とチョウナはつりの部材  (右)真壁と台カンナ仕上げの部材


  鳥取県の二大古民家(重文)を巡るバスツアー

1.日程 2017年11月28日(火)4限~ 
   14時35分 ロータリー集合
   14時40分 ロータリー出発(厳守!)
   15時30分 尾崎家住宅(湯梨浜)
   16時00分 尾崎家出発
   16時45分 河本家住宅(琴浦)着
   17時30分 河本家出発
   19時00分 大学着

2.訪問先(古民家)の概要
 ①尾崎家住宅(18世紀中期・重文・湯梨浜町)
  庭園「松圃園」も国指定名勝。昨年被災して修理に入るので、今後十年ばかり
  建物はみられなくなる。
 ②河本家住宅(17世紀末・重文・琴浦町)
  庭園も指定準備中。県内で最も芸術性の高い最古級の民家。
  ハナレの数寄屋造が秀逸。

3.参加者
 2年次履修生全員、引率教員4名・補助学生若干

4.備考
 *片道1時間半の乗車になります。
  飲料・お菓子・防寒具・雨具など各自準備。
  スケッチブックなどの記録用紙も各自準備。  

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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