民家のみかた調べかた(2)

11月21日(火) 4~5限。4班に分かれた2回めの人間環境実習・演習Aです。『民家のみかた調べかた』班は、郡家(こうげ)の古民家カフェ黒田で、テキスト第1章~第2章(途中まで)を音読で輪読しました。以下、わたしなりの内容理解です(野口)。
どういう民家が古いのか
第1章では、どのような民家が古いのか?を主題に、多方面から民家の歴史について考察している。
庄屋や名主から自作、小作農家及び借家人まで幅広い階層があり、家主によって民家の様式や規模は大きく異なるため、同じ時代でも異なる建築方法で建てられた住居が存在している。このため、単純に建築方法から年代を推測することは非常に難しい。そこで当時使われた道具や道具が普及した地域、そこでの文化、家主の階級などの点から民家をとらえることで、より細かく年代を推測することができる。 以下、民家の古さを見るポイントについてまとめる。
A 手斧(ちょうな)仕上げとかんな仕上げの違いから民家の年代を推測。人目に付くところが手斧仕上げになっている民家ほど古く、細部までかんな仕上げをしている民家ほど新しい。また手斧に関しては、蛤刃を使用した材と平刃を使用した剤の二つがあり、蛤刃の方が古く、平刃で大まかに削られている材ほど新しい。
B 草葺き、板葺き、本瓦葺きなど、屋根材料の違いから民家の年代を推測。しかし、今は瓦葺きを使用しているが昔は草葺きだったものや、庇のみ瓦葺きに変えた場合もある。また、瓦も本瓦と桟瓦、ろうそく桟瓦などの違いがある。近畿などでは瓦屋根の普及が早かった。「大和棟」の落棟は全国的にみても例外的な本瓦葺きになっている。
C 軒の高さによって年代を推測。軒が低い場合は古い民家であることと推測できる。軒が低く壁が大壁だと竪穴住居にイメージが近い。中世住居はこのタイプが多い。時代が進むとともに民家内の採光をはかり、軒が高くなる。また、元は軒が低い民家であったが、勾配の緩い瓦葺きの庇を付けて、屋根が複数の素材で構成されている民家もある。
D 独立柱と差鴨居の関係、大黒柱があることで開放的な空間を作ることができることを学んだ。古くは1間(6尺)ごとに柱を立てたが、土間境などでは、一部の柱を省略するため、大黒柱を太くして対応した。また、土間の中に独立柱があると古い民家と考えられる。


グロッサリー この日理解した単語集
普請帳(フシンチョウ) 民家などの建築工程に係わる記録
棟札(ムナフダ) 屋根裏の棟木や棟束に貼り付ける札。建築年代や大工の名前が書いてある。
什器(ジュウキ) 皿・椀など
階調(カイチョウ) ハーモニー、調和
梁(ハリ) 屋根裏の小屋組を構成する水平材。梁行方向(妻側)に架ける。
貝斧(カイフ) 貝で作る斧またはチョウナ。進化したらハマグリ刃の鉄斧となる。
斧(ヨキ) 金太郎が持っているオノ。
長押(ナゲシ) きくちゃんが見つけた(↓)、装飾的な水平材。釘打ちで柱にとめる。書院造の要素。

へそくりを隠す長押。裏側に隙間ができている(材の重さを軽減するため)。