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民家のみかた調べかた(3)

1128尾﨑家01松圃園01 松圃園


古民家バスツアー

 11月28日(火)4限から古民家ツアーに行きました。前回は少人数の輪読セミナーでしたが、古民家ツアーは人間環境実習・演習Aの履修者全員(27人)全員が参加しました。見学させていただくのは東伯郡にある二棟の重要文化財、尾崎家住宅(湯梨浜町・18世紀)と河本家住宅(琴浦町・17世紀)です。県内でも有数の貴重な古民家であるため、構造や意匠を学ぶことになりました。


1128尾﨑家01松圃園02座敷01


尾﨑家住宅と安楽寺

 まず環境大学からバスで60分ばかり走ると湯梨浜町の尾崎家住宅に到着しました。本当はもう少し早く着くはずだったのですが、山陰道(高速道路)青谷~泊間が工事中で地道を走ることになり、少し遅れてしまいました。尾崎家住宅は2016年に起きた鳥取県中部地震によりダメージを受けているため近々修復が始まるそうです。ですから、今回尾崎家住宅に入れるのは貴重な機会です。しかし地震被害の影響のため、いちどに大勢で入ると建物に負荷がかかってしまうので、15名前後の二班にわかれました。一方が住宅の屋敷から庭を眺め、他方は小路の対面にある安楽寺本堂を見学して入れ替わります。


1128尾﨑家01松圃園02座敷02 1128尾﨑家01松圃園02座敷03sam


 長屋門を通ると古民家のオモヤがみえました。『民家のみかた調べかた』に記されているとおり、古民家は軒が低く棟が高かったです。玄関をくぐると、土間に独立柱が並んでいます。前回の輪読セミナーで習ったように、土間の独立柱は江戸中期以前の特徴の一つです。土間から畳間にあがると式台があります。その奥の数奇屋造の奥座敷に案内されました。この座敷は、床・違い棚・附書院を伴う書院造をベースにしていますが、長押や柱が丸みを帯びた面皮(めんかわ)を使うなど風流があしらわれています。川の流れを表しているかのような欄間も美しかったです。この座敷は奥に独立してたつ仏間の座敷をイメージして作られたらしいですが、今回は被災中のため仏間を見学させていただくことはできませんでした。


1128尾﨑家01松圃園10中庭


 数奇屋座敷の縁から庭を眺めることができました。縁は二段になった落縁で南側を向いており、庭だけでなく、遠くの山並みも借景として一望することができました。庭には絹芝、糸芝が使われているらしく、手水鉢も置かれています。池の向こう側には陰陽五行五行の松が庭の中心にどっしり構えています。縁からみえる背景の山を含めたこの庭は国の名勝に指定されているようです。遠望できる山も今の季節は紅葉の赤色が際だって、とても綺麗にみえました。

[キーワード1] 
 式台…武家など高位の方々が使う玄関
 落縁…2段で構成されている縁側、庭を俯瞰しやすく、腰掛けることもできる。
 絹芝、糸芝…南国の芝


1128安楽寺01遠景01 安楽寺遠景



1128安楽寺02


 次に安楽寺を見学させていただきました。本堂の細部は、貫や木鼻の部分に鳳凰、獅子、獏、象などの様々な動物が彫られていました。入口(向拝)も広く、大きな柱をつなぐ海老虹梁の彫刻はとりわけ見事でした。柱や屋根、壁などに使われている木材はケヤキでできています。本堂には来迎柱があり、その前に阿弥陀如来像が祀られていました。銀杏の欄間もたくさん飾られており綺麗でした。安楽寺は大工の遊び心にたけた作品で、視覚的に楽しむことができました。

[キーワード2] 
 海老虹梁…海老のような反った形をしている繋虹梁。身舎と庇の梁を繫ぐ。禅宗様の要素だが、他の宗派にも普及。
 ケヤキ…硬いけど曲がりやすい木材
 来抑柱…仏を迎えるという意味をもつ丸い柱
 西本願寺系と東本願寺系の見分け方は仏堂の柱の色で判断できる。
 黒色が西本願寺、金色が東本願寺である。


1128河本家01ハナレ01 1128河本家01ハナレ03長押


河本家住宅

 バスで尾崎家から河本家まで45分。河本家では12枚の棟札が発見されており、多くの建物の建築年代が分かっています。なかでも、オモヤの棟札は貞享5年(1688)のものであり、年代の確定している県内最古の民家として知られています。こうした年代の古さに加え、芸術性の高さは県内でも最高クラスであり、とりわけハナレの座敷飾りや欄間は見事というほかありません。日が暮れてあたりが暗くなる直前にまずはそのハナレから庭をみました。尾﨑家の庭と共通する蘇鉄の植え込みについて、会長さんは海岸沿いの気候と関連づけて説明されましたが、先生は財の象徴としての「南蛮物」と理解されているようでした。


1128河本家01ハナレ02


 オモヤは四間取りで(尾﨑家は六間取り)、ナンド(寝間)と板間の境に「高敷居」が残っています。ナンドはいま座敷になっていますが、かつては藁敷きの寝室であり、その藁がこぼれないように敷居を高くしたのだそうです(これも古い民家の要素です)。土間の上には茅葺き屋根の小屋組がみえます。先生は竪穴住居構造の名残だと説明されました。また、土間には幕末の家相図が展示されていました。家相図は当時の状況を示す図面ではなく、部屋をひろくしたり、門の位置やカマドの形を変えたりすることで福や財を呼び込む計画図(風水の理想図)であり、今に残る建物とは異なっていても矛盾はないと説明されました。
 こうして約40分の見学が終わりました。バスに乗って大学に戻ると、あたりは真っ暗で、19時20分になっていました。(小浦)
 

1128河本家02近代ハナレ01
↑ハナレのハナレ(近代の数奇屋)
1128河本家03学生
↑↓学生たち
1128河本家03学生02
↑土間の家相図を背景にして

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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