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民家のみかた調べかた(4)

 私たちの班は12月5日(水)の4限~5限、前々回と同じ古民家カフェ黒田でテキスト『民家のみかた調べ方』の輪読(音読)の続きをした。今回は2章の残りと3章の前半を読んだ。以下、そこで学んだことを整理する。

どんな要素で古さがわかるか-2章後半

 以下1~4は建物の古さを見極めるポイントである。

1、柱から考える
 あまり加工されておらず、曲がったり、丸みを帯びていたりする柱は古い。そして柱の断面が長方形の柱も古い。柱は掘立柱、土台がなく礎石の上に立っている柱、土台がある柱、の順で古くなる。また、一番古い掘立柱の家は残っていない。掘立柱はその名の通り、地面を掘って立てた柱で、倒れにくいが、柱が根腐れしてしまうので、古いものは残らない。
 [キーワード1] 礎石(そせき)…建物下にあり、柱を支える石のこと。礎石があることで柱の根腐れが起こらず、建物が長く持つ。この礎石の上に柱を立てて作る建て方を「石場建て」という。古くからある家を「千年家」と呼ぶことがあるが、中世期に周辺の民家は掘立柱であったのに、例外的に石場建てで建てられたことで永続性を獲得し、「千年家」と呼ばれるようになった。

2、貫の離れ方から考える
 小屋組の束をつらぬく梁行と桁行の貫が上下に大きく離れているものは古く、それが近づき上下に接するようになっているものは新しい。
 [キーワード2]貫(ぬき)…柱の中を水平に貫通している木材。壁などを補強するために使われている。
 *梁行と桁行: 基本的に棟と同じ向きであり、長い方を桁という。それと直交する、短い方を梁という

3、開口部の雨戸の位置、有無や柱間の間隔、開口部の溝の数から考える
 ①雨戸が縁の外にあるもの、②雨戸が縁の内側にあるもの、②雨戸を用いず一間ごとに板戸二枚と障子一枚のもの、④半間を壁にしてその裏に板戸と障子をおいたもの、の順で新しくなる。板戸二枚と障子一枚で作られている場合、開口部の溝が3本溝になるのでたとえ改造されたとしても、溝の数から元のやりかたを復原できる。開口部は年代が古くなるほど小さく、内部は暗くなって竪穴住居のイメージに近づく。

4、古民家の内部から考える
 古民家は暗く閉鎖的である。これは前々回に習った「軒が低く一間ごとに柱が立つこと」と、上に書いたように「開口部が小さいこと」からもわかる。そして古民家は間取りが単純で、寝間周りと座敷部分以外に建具を入れずに開放的になっている場合が多い。
 [キーワード3] 建具(たてぐ)…障子や窓、扉などの開閉できる仕切りのこと。


民家の付属屋

 2章の最後のほうでは、門や倉、書院などの付属屋について学んだ。住まいは寒い地域では一つにまとまりやすく、暑い地域では機能ごとに棟を分散する傾向がみとめられる。門にはその家の社会的地位がよくあらわれる。例えば長屋門は上層武士の家にみられるが、これは長屋門に見張り番(門衛)を詰めさせることで不審者の侵入を防ぐ役割がある。
 倉は穀物や家財など重要なものを収納するためにあり、地域ごとに様々な特色がある。倉の形式で最も多いのは「土蔵」である。土蔵にも木造建築全体を漆喰と粘土で塗り固めたものと、大壁で屋根・壁を密封し、上に木造の鞘屋根をのせる「豆腐蔵」の二タイプがあると学んだ。書院は別棟に建てられることがしばしばあった。主に近畿地方に代表的な書院が残されている。

平面図の描きかた-3章前半
 
 平面図の描き方について学んだ。平面図は5㎜方眼紙に描く。畳の長編を2㎝、短編を1㎝として部屋の輪郭をかき、その後、柱や間仕切り建具を描いていき、同じ調子で他の部屋も描いてゆく。そして設備を書いたのちに寸法を記入し、最後に部屋の名称、床と天井の種類を書くといった流れである。建具や設備などのタイプは記号・略称で表記する(例:障子→シ,ガラス窓→ガマ,仏壇→卍)。以下、私が重要と感じたポイントを明記する。

1、記入はフリーハンドで行うこと
 図といえば定規などを用いてきっちりと描くものと思われるかもしれないが、現場ではフリーハンドで描く方がよい。フリーハンドのほうが圧倒的に速く描けるからである。

2、部屋を書くときは畳の部屋から書いた方が書きやすくなる
 畳の大きさは一定なので、その畳を方眼紙の1㎝×2㎝としてしまえば、簡単に部屋を描くことができる。

3、寸法を書くときは桁行、梁行方向に一ヶ所ずつで一度に記入する
 梁行・桁行で何ヶ所も採寸すると、寸法が微妙にずれて正方形もしくは長方形であるべき部屋や建物が平行四辺形や菱形のようなおかしな形になってしまうことがある。建物の縦軸・横軸は直交していると仮定し、両軸とも一ヶ所を通して測った寸法を基準にして記入した方がいい。採寸の場合は、柱ごと・内法(うちのり)ごとに測あると誤差が大きくなるので、部屋の端から端まで巻尺を伸ばして一気に記入すると誤差が小さくなる。

 次回(12月12日)は古民家カフェにて実際に平面図を描く予定である。(菊谷)


1205黒田(輪読)

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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