パリンカの夢、もういちど(2)

イニエスタ・ドゥルセ・コラソン・ロサード 2014
昼前に郵便局から電話があり、不在通知の届け物を12~14時にもって行くと告げられた。兄からのお歳暮返しらしい。その後まもなく門のチャイムが鳴る。寝間着のまま庭にでて驚いた。
門の向こうに立っているのは郵便局員ではない。内蔵助が手にワインボトルをもっているのだ。お歳暮だというので、さらに驚き、まぁ中に入ってお茶でも飲んで、と何度も誘うのだが、「いいえ、いいえ」の一点張り。「イニエスタのお父さんが農場ワイナリーをやっていて、そこで作ったワインなんです」と口早に説明するや否や、駆け足で車道のほうに消えていった。イニエスタとは、もちろんFCセクストン、じゃなかったFCバルセロナでメッシと組んでいる中盤の世界的名手のことである。
イニエスタはラ・マンチャに ボデガ・イニエスタ Bodega Iniesta というワイナリーを所有している。創立は2010年というから比較的新しくできたワイナリーだが、内蔵助の説明に従うと、おそらくイニエスタの父(及び祖先?)がその地で葡萄栽培をしていたのだろう。



それから一時間ばかりして、今度は郵便局員が冷凍物のハムを届けてくれた。ワインにハムか、悪くないな~と夕食の構想をぼんやり練りあげたのだが、夕方になって冷蔵庫をまさぐると生協の冷凍食品が多々あり、それから片付けることにした。しかし、自分としては内蔵助から頂戴したイニエスタ・ドゥルセ・コラソン・ロサード 2014にあう皿物を揃えたつもりである。スペイン語は学んだことがないけれども、ドゥルセとは「甘い」、コラソンは「心」を意味するようで、後者についてはロゴの真っ赤なハートマークと対応しているのでしょうね。ロサードはいわゆるロゼのことであり、やや甘口なので「セミ・ドルセ」の注記あり。
こういう美味しいワインを飲みながら、広岡農場に想いを馳せる。広岡の梨ワイン「梨美子(りこ)」はボデガ・イニエスタに決して劣っていない。甘口のドゥルセ・コラソン・ロサードが、シードルと同様、食前酒向きであるのに対して、酸味の強い辛口の梨美子(りこ)は肉や魚によくあう。鳥取、というよりも日本が生み出した果実醸造酒として突出した存在であり、昨夜の代表戦の続きとして説明するならば、それは「国内組」のレベルにとどまらず、「海外組」の域に達している。ガイナーレはまず広岡農場を見習うべきなんだ。

