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男はつらいよ-冬の地蔵祭(2)

冬DSC03771


QO家所見-土蔵

 主屋の背面に近接する中二階形式の土蔵。西側面が鉢屋川に沿う小路に接し、主屋と同様に景観上非常に重要な役割を果たしている。土蔵は乾物の収納庫として使用されていた。一般に中二階の町家は明治末ころまで遡るが、この土蔵の建築年代は課税台帳に大正5年(1916)と記されている。屋根は切妻造で赤褐色の桟瓦を葺き棟に来待石を置く。正面に裳階状の小さな庇をつけるが、こちらの屋根は褐色桟瓦葺とする。基礎は延石で土台上に柱・壁を立ちあげる。
 入口は主屋側の妻に開く。観音開きの土扉ではなく、引違板戸とし、戸前口には長細い切石の踏石を置く。また、西側面の南端部は車庫に改造し、引き違いの板戸を嵌め込む。西側面及び主屋側の妻部分の外壁は庇より上を白漆喰塗り、腰廻りは焼杉縦目板張りとする。南妻側は、2階軒高までを焼杉板の縦目板張り、それより上を白漆喰塗りで仕上げる。東側面も腰廻りをトタン張り、上部を白漆喰塗りとしている。


冬DSC03761


 平面は桁行6間×梁間3間で、入口に接する1間半×2間半のみ吹き抜けとして、そこから階段で2階に上がる。小屋組は壁付部分を和小屋、中間を登り梁とする。1階の奥(土蔵南側)1間半が車庫に改造され、合板張り板壁で他と仕切られる。1階・2階の内壁面と床面も合板張りに改変されている。主屋を改造した昭和50年代後半に土蔵内部も改装したと推定される。1階の東壁面中央に角窓1ヶ所、2階の東壁面と西壁面には角窓を2ヶ所開ける。いずれの角窓も外側を木製窓枠のガラス窓とする。
 今は乾物等の倉庫ではなく、物置として使用されているが、老朽化が進み解体の可能性を示唆される時期があり、さらに2016年10月21日の鳥取県中部地震で被災し、土蔵の一部が剥落、瓦がずれるなどして一年以上ブルーシートを被ったままである。こうした苦境に置かれた土蔵であるけれども、山田洋次監督『男はつらいよ-寅次郎の告白-』(1991)では重要なロケシーンとなり、池本喜巳の写真集『近世店屋考』(2006)でも昭和を代表する景観としてこの地が撮影されるなど、鳥取を代表する風景地の構成要素として高く評価されている。


0108小倉dozou平面図_01
↑土蔵1階平面図  ↓同2階平面図
0108小倉dozou平面図_02

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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