青蔵鉄道-吐蕃の道(3)

タンラ峠を越えて
8月26日 目が覚める。腕時計は午前3時04分を表示している。時計の表示を高度計に切り替えると標高4,700mとなっている。時間的に最高所標高5,072mの唐古拉(タンラ)峠を越えたようだ。列車の外は真っ暗。目が覚めた時はそうでもなかったが、徐々に頭が重くなる。青蔵鉄道の客車はカナダの航空機メーカーでもあるボンバルディアの技術が導入されたものという。寝台の枕元にある空気の吹き出し口に顔を近づけ深呼吸するが、効果があらわれない。
7時過ぎ、食堂車に移動し日の出を見ながら朝食をとる。饅頭とゆで卵、野菜の付け合わせとヨーグルト(青海伝統酸奶)。他に定番のお粥。頭が重くて、食欲全くなし。教授は元気一杯。教授に勧められてヨーグルト口にする。美味しい。少々気分が良くなった気がした。朝食の少し前、同行の人から「ダライラマ14世重体」の報を聞く。万一の場合はどうなるのか、一瞬、緊張した空気が流れる。

列車は標高4,000m代のチベット高原を走る。車窓からは樹木が全くない荒々しい山並みが続く。途中、山並みの中に氷河をみる。ラサに近づくとともに、緑と定住集落や放牧されたヤクが目に入ってくる。午前11時10分、定刻にラサ駅に到着。到着後、「入蔵許可書」のチェックのためしばらく待機。鈍感なためか、ラサ到着の高揚感のためだろうか空気の薄さは感じない。ただし、日差しは強い。

現地ガイドのジョカさん(MS)等と合いマイクロバスでホテルに向かう。ラサでは大型バスの運行は禁じられているという。車内で高山病予防のため①飲酒の禁止と禁煙、②急がない、③本日はシャワーを控えること④水分をとることなどの注意を受ける。ホテルはチベット族エリアの「雪城天堂大酒店」。ホテルでの昼食後は高度順応のためフリータイムとなっていた。教授は元気であり散策に出かけたいようだったが、私は用心のたま部屋で休むことした。夕方、教授とホテル前の路地に並ぶ屋台を冷やかす。私はただついて歩くだけ。教授は店番の老若の女性と会話を楽しんでいる。
夕食はマイクロバスで移動し、市内のレストランでとる。その帰り、ガイドのジョカさんからホテルで医者が高山病対策のために血中酸素飽和濃度を測るとの説明を受ける。濃度の数値が80以下だと点滴などの治療が必要だが、当然保険は利かない。私は76、教授は一回目が84だったが2回目は78になっていた。教授はインチキ臭いと判断。当然、治療は受けず。【続】

↑ラサのホテル ↓ホテル門前のバザール
