土蔵とオーディオ


ヘレン・メリルをモノラルで
3月15日(木)午後、松江市白瀉本町のT家土蔵を見学させていただきました。昨年末に松江を訪問して山村カメラマンさんと教授は松江に復興したジャズ喫茶「ウェザーリポート」を訪ね、土蔵か長屋門を活用したジャズ喫茶の構想を談義され、そこから「まつえ まちづくり塾」に相談したところ、さっそく候補物件を紹介していただくことになりました。
「NPO法人まつえ・まちづくり塾」の事務局を経由し、近くのT邸まで歩いていきました。


土蔵の外壁は漆喰で塗られ、土台の部分には大根島の島石(↑右)が使われています。この土台石の上端まで揚床となっていて、かつて土蔵の1階を6畳2室の畳座敷としています。しかし、その畳座敷も13年前に大改装され、白い合板がはりめぐらされ、窓はアルミサッシュに変わり、床もフローリングされ、天井も新しくなっています。この部屋はオーディオルームであり、素晴らしいステレオセットが置かれていました。クラッシックを中心にLPもたくさん棚に並べてあります。先生がジャズを所望されたところ、ご主人は1950年代のヘレン・メリルのモノラルLPを回してくださいました。音楽に詳しくない私でも音の良さと迫力に驚かされました。
2階は半分が洋間に改装され、半分は倉のままで木造部分が露出しています。2本の梁に墨書がみえ、1本に弘化2年(1845)、もう1本には文政?の年号が残っていました。棟札ではないので、これらの年号が建築年代を表すわけではありませんが、先生は幕末ころだろうとは思うと仰いました。ただし、土蔵の丈が高い点は気になされており、明治以降まで下る可能性もあるかもしれません。
最初にオーディオをみたとき、ジャズ喫茶にぴったりだなとも思えたのですが、近年の改修が激しく、木造のぬくもりを感じられない点は残念です。店とする場合、合板をはがし、サテンドールのように梁を露出させるなど大幅な工事が必要になるでしょう。ただ古い土蔵とか木造建築を利用するのではなく経営を持続させていくのはとても難しいと改めて感じました。(OK牧場)


↑墨書