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田和山再訪

180315①復元建物


劣化と骨董のはざまで

 昨夏、松江市の国史跡「田和山遺跡」の復元竪穴住居の傷みについて市議会で質疑が交わされ、新聞で結構大きな報道になりました。以来、教授は自ら手がけた復元住居のことを大変気にかけておられましたが、3月15日(木)にようやく視察がかないました。 
 田和山遺跡は松江市立病院建設の際、発掘調査によってみつかった弥生中期の遺跡です。山上に三重の環濠が存在し、その周辺には複数の住居跡や大型建物跡が点在しています。宍道湖や松江市街地が一望でき、とても気持ちの良い場所だと感じました。


0315田和山0909内部 180315②竪穴住居(西側)
↑大型住居 ↓(左)新聞報道 (右)蟻桟 ありざん
田和山新聞報道_01 田和山新聞報道_02 180315③蟻桟 

 
 遺跡整備から10年以上経ち、西側の竪穴住居跡に劣化が目立ちはじめています。屋根に葺かれた茅が抜け落ち、雨漏りが放置されているのです。茅の葺き替えには数百万円の予算が必要であり、まずはこれ以上の劣化を防ぐために防水シートを被せるなどの保護が必要だと思いました。教授の感想は「新聞報道を読んだほどの状況ではなく、予想していたほど酷くはない。打つ手はある」というものでした。ちなみに、大型住居の扉板には「蟻桟(ありざん)」が使われています。鳥取市の青谷上寺地遺跡出土材に倣ったものなのだそうです。
 竪穴住居に隣接し、おそらく関係が深いと思われる大型掘立柱建物のほうも劣化はみとめられましたが、雨漏りなどは発生していません。こちらの劣化はむしろ「骨董の風貌」に近いところもあり、教授にいたっては「ずいぶんオーセンティックになってきた。雲南やブータンの古民家を彷彿とさせる」というポジティブな感想を述べられました。経年変化による材料の変化は復元建物に必ずしも悪い影響だけを与えるものではありません。骨董の風貌に近づけながら、ぎりぎりのところで劣化をとどめることができれば一番良いのではないか、と考えておられるようです。


0315田和山0919大型建物 180315④掘立柱建物
↑大型掘立柱建物。千木がずれているところがなんともオーセンティック。


180315⑥内部の傷み 


 北側の竪穴住居は焼失住居遺構であり、炭化材や焼土の状況に基づき、土屋根に復元されています。ところが、2009年に火事による被害を受けまし。その火事の原因は「燻蒸」にありました。燻蒸は建物の内側で火を焚き、その煙によって屋根の湿気や虫を除去することを目的としています。その後、防水性能を高めて再建されましたが、燻蒸は控えるようになったそうです。燻蒸しなくjなった結果、垂木が周堤に接するあたりに水分が集中し、その周辺で腐朽がみとめられます。これについてもなんらかの手当が必要ですが、教授によると、この腐朽レベルもまだましだということです。周堤に接する部分は特に乾燥させづらいわけですが、扇風機やサーキュレータを利用した効率的な燻蒸ができないものか、と思います。(公爵だっしょ)


180315⑤竪穴住居(北側)

180315⑦集合写真 
懐かしいスタッフ2名(+新人1名)と再会。

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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