猫と昼寝のマルタな日々(1)

関ヶ原とソルティア
成田からの直行便は早朝4時半、イスタンブールに着いた。イスタンブール空港は3度目。懐かしいトルコ珈琲でひと休みした。ビスタチオのスウィーツによくあうが、トルコ珈琲以上にあうのがチャイです。香料を少しだけ混ぜた素朴な紅茶なんだけど、器がいいでしょ。
ターキッシュエアライン十時間の夜行でしたが、今回は枕にも腰枕にもなる優れものを取り寄せており、以前ほどの苦痛は感じなかった。そしてまた、映画をみる。「関ヶ原」-馬遼太郎原作の中編小説を昨年映画化したもの。
監督:原田眞人 石田三成役:岡田准一 徳川家康役:役所広司
石田三成が正義の人として演じられる。正義は光成、不義は家康。岡田の演技は、良くも悪くも、いつものとおり。石田の評価が秀吉に媚びた悪役ではなく、義を貫く善玉となっているところは一昨年のNHK大河「真田丸」と同じだが、戦国の世であろうと現代社会であろうと、一方が完全な正義で他方が不義であることなどありえない。なんだか古典的な勧善懲悪の芝居をみさせられているようだった。石田は少々早口が過ぎるのと、いくら正義の人でもあそこまでいくと人間味が感じられない。伊賀のくのいち初芽(有村架純)との恋もプラトニックのまま終わる。眞田幸村だって自刃前夜に長澤まさみにディ-プキスしたのに、性戯に優れたくのいちを戦国武将が一度も抱かないなんて・・・正義が性戯に優るなんて。伽のないくのいちの映画なんて司馬遼太郎も天国でがっかりしてるんじゃなかろうか。


監督は司馬の作品を好き過ぎるのだろう。随所に原文引用のナレーションがでてくる。あれは要らない。演技と科白で司馬の文章を伝えないと。脚本が良くないと思われてしまう。エンディングもまた「正義」でがっくり。
脇役については、家康を演じた役所さんは素晴らしいと思った。島左近の平さんもまぁ迫力がある。小早川の東出がいけない。小早川の苦悩はもっともっと深いものだったはずだから。ずいぶんお金をかけてロケしているが、黒澤明や北野たけしにメガホンをとらせたら随分違った映画になっただろう。
映画を見終えてもまだ眠気を感じなかったので、ゲームに挑んだ。モニターにたくさんのアプリがあらわれたが、麻雀ゲームはなし。できるのはソリティアだけ。これが手強い。カードをめくらないと未来がみえない点は麻雀と同じ。キングの下ろし方など、動きを間違えればまたたくまにシャットダウンとなる。結局、夜と朝で50回以上トライしたが、上がったのは1回だけでした。
